生理周期を意識したトレーニングでダイエットを成功させよう

“男性と女性は身体の構造が大きく異なる” 当たり前のような事ですが、意外と認識出来ていない方も多いようです。

 

筋肉のつき方、体型・骨格の違い、そしてホルモンバランスの違いetc…

 

そこで今回はホルモンバランスの違いについて着目し、ダイエットとホルモンの関係について掘り下げていきましょう。

 

女性がダイエットを健康的に行うためには、女性ホルモンのバランスに注意しなくてはなりません。

 

女性には生理(月経)があり、ホルモンバランスが直接ダイエットやボディメイクに影響するのです。

 

これからダイエットのチャレンジする方、過去にダイエットに失敗した経験がある方は是非本コラムを参考にしてみてください。

 

第1章【ホルモンとダイエットの関係とは?】

冒頭でも少し触れたように、女性がダイエットを行う場合は女性ホルモンのバランスに注意しなくてはなりません。

 

結論から申し上げますと、女性ホルモンのバランスが崩れると月経異常をはじめ感情の起伏や集中力が欠如し、身体ともに不安定な状態となってしまうからです。

 

そこで次は生理を担う2つの女性ホルモンについて解説していきましょう。

 

▪2つの女性ホルモン

男性と女性の身体構造的な違いを生み出す女性ホルモン。

特に子宮が担う生理という特別な機能をコントロールしているのが2つ女性ホルモンという訳です。

 

こちらが生理機能を担う2つの女性ホルモンです。

①エストロゲン

②プロゲステロン

それぞれ解説していきましょう。

 

①エストロゲン

エストロゲンは別名卵胞ホルモンとも呼ばれており、卵胞(卵子)を成熟させて排卵を促すホルモンです。

 

そして女性らしい身体つきを作るホルモンでもあり、身体に様々な影響を与えている大切なホルモンなのです。

 

エストロゲンの主な役割について以下にまとめていきましょう。

1.子宮や乳房を発達させて女性の身体となるための性徴を促す

2.卵子が着床しやすいように子宮内膜を肥厚させる

3.脂肪代謝を促して内臓脂肪を減少させる

4.自律神経のバランスを整える

心と身体の健康を保つために、エストロゲンは大切な役割を担っているのです。

 

②プロゲステロン

そしてもう1つの女性ホルモンがプロゲステロンです。

別名黄体ホルモンとも呼ばれ、受精卵が着床(妊娠)しやすい状態に近づけるホルモンと言えます。

 

また排卵後から生理前まで分泌されるホルモンであり、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えるこの時期は身体の不調が起こりやすい不安定な時期となるのです。

 

そしてプロゲステロン(黄体ホルモン)が担う主な役割については以下の通りです。

1.子宮内膜の厚さを維持して妊娠に向けた身体を作る

2.妊娠中の状態を維持する

3.基礎代謝を高めて体温を維持する

4.体内の水分量や体脂肪を維持する

ダイエットやボディメイクにおいて気になるポイントは、やはり水分排出の抑制と言えるでしょう。全身の“むくみ”、そして“倦怠感”を引き起こすため体重の増加や不調に繋がってしまうのです。

 

またプロゲステロンの分泌量はセロトニンというホルモンの分泌量と相関関係があり、ホルモンのバランスが乱れることで抑うつ症状が現れやすくなるとされています。

セロトニンは別名”幸せホルモン”とも呼ばれる脳内神経伝達物質の1つ。精神面を制御するホルモンで、一日の生体リズムや睡眠、そして体温調整などその役割は多岐に及ぶ。健康的な生活を送るためには欠かすことが出来ないホルモンと言える。

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▪生理前に食欲が増す理由

「生理前はイライラしてついつい食べ過ぎてしまう・・・」

 

この現象にはキチンとした理由があります。

生理周期は前述した2つの女性ホルモンによってコントロールされており、生理前(=黄体期)に入るとエストロゲンの分泌量が低下していく訳ですが、エストロゲンには食欲を抑制する働きがあるのです。

 

そのため黄体期は食欲の抑制が効きにくくなってしまうのです。

 

また血糖値が下がりやすくなり、身体が低血糖状態となるため食欲が増してしまうことも影響しているのです。

 

毎月繰り返される生理のリズムに食欲が振り回されていませんか?

 

第2章【生理周期と女性ホルモン分泌量の関係】

続いて2つの女性ホルモンのバランスと生理周期について解説していきましょう。

引用:https://president.jp/articles/-/27237?page=2

 

前回の生理が終わり、次回の排卵まではエストロゲン(卵胞ホルモン)が増加します。 ※卵胞期

 

そして排卵後から次に始まる生理まではプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が促されます。 ※黄体期

 

ここでもう一度、プロゲステロン(黄体ホルモン)の働きについて整理しておきましょう。

1.子宮内膜の厚さを維持して妊娠に向けた身体を作る

2.妊娠中の状態を維持する

3.基礎代謝を高めて体温を維持する

4.体内の水分量や体脂肪を維持する

子宮内膜が肥厚する時期と重なるということはそれだけ必要となる血液も増え、貧血などのリスクが高まります。そしてホルモンバランスの乱れは PMS(月経前症候群)にも繋がる恐れがあるのです。

※PMS(月経前症候群)とは生理前に起こる心や身体に現れる不調の総称を表す。

 

▪生理周期からダイエットのタイミングを計る

身体にとって大きな変化と言える生理周期。

この生理周期を考慮したダイエット・トレーニングプランは、心と身体の健康を考えるのであれば必ず意識しなくてはなりません。

 

筋トレが生活の一部となりつつあり身近となった今、より一層女性のトレーニング人口を増やすキッカケとなるはずです。

 

生理周期は大きく2つの期間に分けられ、簡単に言うと前半がダイエットに適しており、後半が適していない時期となります。

▪前半:卵胞期中・後期~排卵期→しっかりと運動できる時期

▪後半:黄体期~卵胞期初期→軽い負荷の運動に留める時期

▪ 卵胞期中・後期~排卵期の場合

卵胞期が進むに従い、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増加し始めます。 ※前章の図を参照。

 

この時期になると全身のエネルギーレベルが上がり、痛みや不調に対する耐性が高まる方も多いようです。そのためハードなトレーニングや高強度のワークアウトが実施できるタイミングであるとされています。

そして卵胞期の終わりにエストロゲン(卵胞ホルモン)のレベルがピークに達すると、トレーニング効果が最大限発揮されるため筋トレやダイエットに最適な時期となります。

 

▪ 黄体期~卵胞期初期の場合

排卵期が終わると、再び女性ホルモンの動きが活発となります。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量は増加し、体内に水分や脂肪をため込む時期へと変化するため心も身体も重く感じる方が増えてくる時期と言えます。

 

また前述したようにPMS(月経前症候群)も発生しやすい時期ですので注意が必要となります。中には酷い倦怠感だけでなく、痛みや炎症などの症状がみられることもあるので、トレーニングの内容に注意し、身体を休めてあげるようなエクササイズの選択が大切となります。

そして栄養面においても注意が必要です。

女性において月経期では血液を失うリスクが高くなり、貧血症状などに陥りやすくなってしまうのです。

 

第3章【月経と貧血】

ここまで、生理周期とトレーニングのタイミングについての内容でした。

次は生理によって起こりやすい貧血とトレーニングの関係について解説していきましょう。

 

月経を始め、妊娠や産後の授乳によって失われやすい女性の血液は、誤ったダイエット計画によって更に失われてしまうことがわかっているのです。

 

▪貧血とは?

そもそも貧血とは、“赤血球自体の減少やヘモグロビンの酸素運搬能力が低下した状態”のことを言います。

そして細胞を正常に動かすために必要な酸素が欠乏することで、

 

▪顔色の悪さ(青白い)

▪まぶたの裏や爪が白くなる

▪倦怠感

 

などの初期症状がみられるようになります。

そして悪化すると動悸や息切れ、更には胸部痛などを引き起こし、日常生活に大きな支障をきたしてしまう場合もあります。

ヘモグロビンは別名血色素とも言い、赤い色素を含むため血液は赤色を呈している。鉄を含む“ヘム鉄”とタンパク質から構成される“グロビン”から出来たヘモグロビンは酸素と結合する能力があり、そのため酸素を全身の細胞に運搬することが出来る。

▪女性が気を付けるべき鉄欠乏性貧血

過度な食事制限によって引き起こされる鉄分の不足、そして慢性的な出血によって起こる血液量の不足、この2つが重なることが女性にとって大きな問題となります。

 

発生する貧血のうち、およそ70%鉄欠乏性貧血と言われており、それだけ食生活や生活習慣の問題によるものが大きいと言えます。

 

とはいっても、ただ鉄分だけを補えばよいという訳ではありません。

次に、貧血を招く原因について更に詳しく見ていきましょう。

 

▪鉄分の不足

前述したように、基本的に貧血の70%は鉄分の摂取不足が原因です。

そして食事によって摂取できる鉄分は、①ヘム鉄②非ヘム鉄の2種類に分けることが出来ます。これらの大きな違いとしては、その吸収速度です。

 

肉や魚などの動物性食品に含まれるものをヘム鉄、そしてヒジキやホウレン草、大豆などの植物性食品に含まれるものを非ヘム鉄と言います。

これらは同じ鉄分ではあるものの栄養素として吸収されるスピードが異なり、ヘム鉄は圧倒的に吸収率が高いのが特徴です。

 

もし誤ったダイエット計画により、カロリーのバランスよりも摂取カロリー量ばかりを気にして野菜ばかりの食事を摂り続けていると必然的にヘム鉄が不足します。そのため“鉄分”は摂取しているのに貧血となる場合があります。

 

▪ビタミンB12・葉酸の不足

ビタミンB群に含まれるビタミンB12葉酸の不足は貧血と密接な関係にあります。

 

ビタミンB12は神経や血液細胞(赤血球のもと)の成長を促す効果があり、胃酸がビタミンB12をタンパク質から切り離して胃酸に含まれる酵素(内因子)とビタミンB12が再結合して体内に吸収されるのです。

 

そして葉酸はタンパク質や細胞を生成するために必要なDNAの核を合成する役割があり、赤血球の数を増やすために必要となります。

 

葉酸はビタミンB12と協力して血液を生成する役割があるため、摂取する際は上手く組み合わせることが重要なのです。

 

▪タンパク質の不足

全身の細胞に酸素を運ぶヘモグロビンは、鉄を含むヘム鉄タンパク質から構成されるグロビンから出来ています。

 

非ヘム鉄ばかりを優先的に摂取してしまうことも問題ですが、それ以上にタンパク質が不足してしまうとヘモグロビンの生成量は大きく低下してしまうのです。

このことから、過度な食事制限による栄養バランスの乱れは身体全体に大きな悪影響を与えてしまうことがわかりますね。

 

タンパク質の摂取は、ただ筋肉量を増やすだけが目的ではありません。

トレーニングの効果を高めるために必要な血液に必要不可欠な栄養素がタンパク質なのです。

 

これでも栄養バランスを考えず、食べるのを我慢し続けますか?

 

第4章【生理中の女性が気をつけるべきこと】

体重を気にするあまり、食べることに対して恐怖心を抱いていませんか?

 

栄養バランスについて正しい知識を持っていなければ、このように食べること自体が悪だという誤った認識を抱いてしまうのです。

 

そして繰り返しとなりますが、食べないこと・極端に偏った食生活によって貧血のリスクが高まり生理周期に悪影響を及ぼします。

 

その最たるものが“無月経”です。

過度な食事制限は女性ホルモンを始めとした身体のホルモンバランスを崩し、生理周期が乱れて無月経を引き起こしてしまいます。これには栄養不足による糖新生(筋肉を分解してアミノ酸を栄養素として利用)が影響していることもあり、脳は飢餓状態であると誤認して月経を止めてしまうのです。

 

また補足として、無月経が続く場合は将来的な骨粗しょう症にも注意する必要があります。

 

骨にカルシウムを沈着させるにはエストロゲン(卵胞ホルモン)が必要ですが、生理不順や無月経によってエストロゲン(卵胞ホルモン)が不足することで骨からカルシウムが流れ出てしまい、骨粗しょう症リスクが高まってしまうのです。

 

第5章【まとめ:生理周期に応じてトレーニングの変化をつける】

いかがでしたか?

 

女性がダイエットを行うのであれば、生理周期とホルモン分泌による身体の変化を無視することは出来ません。

 

身体を本気で変えたいのであれば人と比べる必要は全くなく、いかに自分の身体への理解を深めるかが重要なのです。体調が悪いのに無理をしていては、トレーニングの結果が出ないどころかしばらく運動さえできなくなってしまうことさえあるのです。

 

時には思い切って休むことが大切です。

 

本コラム記事で学んだことを参考に、生理周期をうまく付き合いながらトレーニングに励んでくださいね。

 

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山戸 勝道

 

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