【姿勢パターンも紹介】立ち方を変えるとダイエットは成功する
あなたがこれまで正しいと思っていた“立ち方”や“座り方”、もしかすると間違っているかもしれません。いわゆる姿勢が悪い状態では呼吸が浅く疲れやすくなるだけでなく、基礎代謝が減って瘦せにくい体質になってしまうこともあります。
そこで、今更聞けない正しい立ち方や座り方をご紹介しましょう。
目次
第1章【姿勢は悪いのは意識が低いから?】
街ゆく人々や会社の同僚をみて、「綺麗な姿勢をしているな」と思ったことはありませんか?そしてそのような方は決まって体型も整っているものです。
しかし反対に、姿勢の悪い方はどこか元気がなさそうだったり、ぽっちゃり体型であることは少なくありません。
そしてこの差はどこから生まれるのかと言うと、“正しい”立ち方や座り方への意識の違いなのです。
つまりそれだけ自分の身体に対して興味があり、改善しようとする気持ちがあるという事です。あなたは自分の身体に興味を持っていますか?
第2章【意識を持つべき“体幹”】
あなたは以前にアップしたコラム【バストの左右差は胸郭の歪みから?!】をご覧になりましたか?バストアップでなく、バストの左右差は身体の歪みが影響することもあるので、少し参考にしてみてください。
それでは早速、正しい姿勢について掘り下げていきましょう。
まず整理しておきたいのは体幹です。体幹とは手足を除く骨盤を含めた胴体部分とイメージすると良いでしょう。この体幹は大きく上下に分けることができ、それぞれ横隔膜を境に胸郭(胸腔)と腹腔とに分かれています。
※赤い円が体幹、そして中央の線が横隔膜のイメージです。そして上の空間を胸腔、下の空間を腹腔と言います。
そして人間の身体には頭を支えるために脊柱(いわゆる背骨)が存在しています。この脊柱は上から順に頸椎・胸椎・腰椎そして仙骨(仙椎とも言う)に分類され、肋骨が伸びた胸椎部分が肺や心臓を保護する胸郭に当たります。そして内臓を収める腹腔には骨のように硬い構造は無く、ボールの構造を押しても潰れない構造と同じく、身体も潰れないように腹圧(内側から押し返す力)を維持して体幹を支えています。
①腹圧とは?
腹圧とは腹腔内圧の事で、IAP(Internal-abdominal Pressure)と表記されることもあります。上述したように内臓を収める空間(腹腔)を維持するために必要であり、上部を横隔膜、下部は骨盤底筋群、後面は多裂筋(背中のインナーマッスル)、前面を腹横筋(お腹のインナーマッスル)で覆われた腹腔は、これらの筋肉が協調して働くことで腹腔内圧を高め、体幹部を安定させるために作用しています。
②腹圧が低下すると体幹はつぶれる
ここで蓋の閉まったペットボトルをイメージしてみましょう。この状態ではどんなに外圧を掛けても(外側から押す力)ペットボトルが潰れることはありません。
これはつまりペットボトルの内圧(内側から押し返す力)と外圧が均衡していることを表しています。しかし蓋を開けると先ほどの頑丈な構造から一転、見事につぶれてしまいましたね。
つまり形(姿勢)を保つためにはこの内圧が非常に大切という事です。これと同じことが身体でも起こっており、内圧(身体では“腹圧”と言う)が弱くなることが姿勢の変化に繋がってしまいます。
③腹圧が低下する原因
腹圧が低下する大きな理由の1つが加齢です。つまり大人になるほど腹圧が低下しやすくなるのです。日常生活の中で背中を丸めて座るなど偏った身体の使い方をしていると、手足末端の筋力ばかりを使ってしまいます。つまり身体の連動が徐々に失われ、肩や腰まわりの筋肉だけで何とかしようとしてしまうのです。そして筋肉は“いびつ”な使われ方を繰り返されて縮こまり、この時点で腹圧を使うことが出来ない身体となってしまうのです。
つまり楽だと思って普段から繰り返していた立ち姿勢や座り姿勢は、実は腹圧を低下させ、身体にストレスをかけているかもしれません。
第3章【腹圧をかけるメリット】
このコラムを見て初めて腹圧という言葉を知った方も多いかもしれませんね。実は人間だけでなく、特に哺乳類は全身を連動させて動くために、この腹圧という機能が発達してきました。
力を伝えるためには、体幹部分の安定が欠かせません。つまり体幹力が無ければ、筋肉が発達しづらい身体となり、太りやすい体質や腰痛・肩こりなどの症状を引き起こす原因となってしまうのです。例えばぬかるんでいたり、滑りやすい地面では“踏ん張り”が効かないのはイメージできますよね?そうすると余計に力んでしまい、身体には必要以上の負担が掛かることになります。
このように一般の生活においても体幹の安定は必要で、この体幹の安定を引き出すのが腹圧という訳です。姿勢改善やダイエット・ボディメイクを成功させるためにも、初めに取り掛かってもよいほど重要なのです。
①姿勢改善効果
猫背のように背中が丸まってしまった体型や、“おヘソ”が前方に突き出たスウェーバック姿勢の方は、腹圧トレーニングを欠かすことはできません。体幹の安定感が無いことで、身体は自然と“安定しやすいポジション”を探し始めます。そして猫背であったりスウェーバックといった不良姿勢は、体幹の筋力が無いなりに安定感を作り出した結果なのです。
つまり腹圧トレーニングを始めとした身体の使い方を習得できれば、もともと取る必要が無いこれらの姿勢の改善を図ることが出来るのです。このように、身体に限らず変化には必ず何か理由があり、その理由を解決しなければ次のステップには進めないのです。
【重心を変えればダイエットは成功する!正しい姿勢を身に付けよう】
②ポッコリお腹の改善
腹圧が弱くなることで、お腹まわりの筋肉は緩んだゴムのようにハリを失います。そして内臓を支える筋肉も弱くなり、胃下垂(内臓下垂)の影響もあって下腹が前方へ突き出てしまい、これがポッコリお腹の大きな原因の1つとなります。
内臓を支えるお腹まわりのインナーマッスルは腹横筋であり、ハンモックのような構造をしています。この腹横筋が弱くなることで食後大きくなった内臓を支えきることが出来ず、下腹はポッコリで出てしまいます。当然筋肉が伸びてスペースが出来たところに脂肪も溜まりやすくなる為、余計に下腹はポッコリとでてしまうのです。このように部分的に脂肪が溜まるのは原因があるのです。
しかし、腹圧をトレーニングすることよって腹横筋はしっかり鍛えることが出来ます。内臓の位置を整えることが出来れば基礎代謝も向上し、脂肪を燃焼しやすい身体に変わることができるのは大きなメリットですね。
③バストアップ効果
バストの土台となる筋肉は、胸全体に付着する大胸筋です。この大胸筋のボリュームがバストサイズに影響を及ぼします。しかし筋肉だけではなく、その土台にこそ目を向けなければバストダウンを避けることはできません。
背骨は上から順に、頸椎・胸椎・腰椎と大きく分けて3つに分類することができ、いわゆる胸まわりの背骨である胸椎には、バストの土台となる大胸筋が付く胸郭が存在します。
この胸郭(バストの土台)がしっかりと正しい位置でキープできれば、当然バストが崩れることも少なくなります。しかし腹圧が抜けてしまい、だらしない姿勢で立っていれば背中は丸くなり、胸郭は下へ向いてしまいます。これがバストが垂れる大きな原因という訳です。
④腰痛予防
腰には腰椎と呼ばれる骨が連なるような構造があり、それぞれの間には椎間板と呼ばれるクッションがあります。このクッション(椎間板)には弾力があるため、腰を曲げたり反らしたりすることができるのです。そしてその動きをコントロールするために腹圧は必要不可欠という訳です。猫背やスウェーバック姿勢といった変化によって腰椎・椎間板への慢性的なストレスが大きくなり、変形や神経の圧迫といった痛みの原因へと発達します。
第4章【実はあなたも?陥りやすい姿勢の崩れ】
普段何気なく立っている時、自然と“休め”のような姿勢になっていることはありませんか?立ち姿勢というのは私生活のなかで多くの場面で必要であり、それだけ身体への影響も大きいのです。
もしかするとあなたも、このように左右どちらかの足に体重を掛けて立っているかもしれません。この姿勢では筋力を使って身体を支えるというよりも、関節の捻れによって身体を支えています。また、人間の身体は左右対称ではありません。内臓は左右それぞれ配置が異なるものがいくつかあります。その代表が肝臓と胃であり、体の右側には肝臓が、左側には胃が存在しています。肝臓はいわゆる中身が詰まっている臓器(実質臓器)で、外部のストレスによって形自体が大きく変化することはありません。それに対して胃は袋状の形をしており、外部からのストレスによって形を変える特性(管腔臓器)を持っています。
ここでポイントとなるのは、肝臓が体の変化に対する“軸”となる点です。実質臓器である肝臓は、上部は横隔膜、下部は内臓を守る腸間膜で覆われ、後面には腸腰筋(股関節のインナーマッスル)が付着しています。つまりこれだけの組織が肝臓を中心に張り巡らされているため、これらの組織は互いに引き寄せ合う力が強く、それに伴って体は右へ傾きやすくなるのです。
この事から、右側の腹圧は弱い傾向にあることがわかりますね。右の腹圧が弱いということは、立つ・座る・歩くなど日常生活の動きでそれだけ体が右に傾いてしまうシーンがあるという事です。
①人間が陥りやすい不良姿勢パターン
上半身が右に傾くことによって股関節までの上半身の筋肉は短縮し、バランスを取るようにして骨盤は右に変位(スウェーと言う)します。
そして写真からわかるように右の股関節は内転位となり、左足は外転位へ。このように、体の動きは連鎖することで高い支持性(二足歩行)が実現しています。このように体は状況に応じて順応する素晴らしい能力を備えていますが、残念なことにその変化が良い方向へ傾かないことも多々あるのです。
この姿勢では右足に寄りかかったような状態であるためお尻やお腹まわりの筋力が低下し、“垂れ尻”や“ポッコリお腹”となってしまいます。
勿論、必ずしも全員がこのようなパターンになる訳ではありません。しかしうっかり陥りやすいパターンを知っておくことで、日常生活で注意すべきポイントがわかり、改善策に繋がるのです。
第5章【立ったままでも出来る!姿勢改善ストレッチ】
姿勢が崩れることで筋肉は柔軟性を失い、背筋を伸ばそうにも伸ばせなくなってしまいます。そこで手足を繋ぐ体幹まわりをストレッチし、身体全体を引き伸ばしていきましょう。
□方法
①壁に左肩を向け、肘くらいの幅を取りましょう。そして右手を上にあげ、壁に触れます。(触れた高さから動かさないようにしましょう)
②右足を後方に下げ、少し壁側に寄せましょう。壁につけた右手を離さないように、腰を少しかがめるように膝を曲げていきます。
③右の横腹にストレッチ感がでてきたら、その位置で左手も壁につけましょう。体を右側に少し捻りながら右手で壁を押し、右の脇腹にストレッチ感がでてきたら、その位置で深呼吸を5回ほど行います。(反対側も同様)
第6章【自分を変えたいなら腹圧トレーニング!】
ストレッチをして背筋を伸ばす準備ができたなら、次は腹圧を高めるトレーニングを行っていきましょう。お腹まわりのトレーニングが上手くできたなら、姿勢を維持するための持久力は格段に上がります。それだけで身体への負担の変化を実感できるでしょう。
□方法
①仰向けになり膝を立て、骨盤と下腹部の境目に両手を置きましょう。この時、膝の間にボールやクッションを挟むと内転筋と骨盤を介して腹横筋を意識しやすくなります。
②鼻から息をゆっくり大きく吸います。この時胸だけでなくお腹まわりの360°全体に空気が入るようなイメージで膨らませていきましょう。
③ “おヘソ”に向かって肋骨を引き下げるように、なるべく長く息を吐いていきます。この時、口をすぼめないようにしましょう。
※ドローインのコツとして、女性なら膣、男性なら睾丸を頭方向へ引き上げると、より効果を高めることができます。
④しっかり吐き切った後にそこで少し息を止め、コルセットを締めるようなイメージで膨らませたお腹の緊張を抜かないようにすると腹圧を意識しやすくなります。
1呼吸を1回とし、10回程度繰り返しましょう。
①デスクワークをしながら腹圧トレーニング
やはり仕事中や作業を行いながら意識したい方は、座ったまま腹圧トレーニングを行っていきましょう。
座るポジションも大切なので、第8章【デスクワーカー必見!正しい座り姿勢】を参考に、股関節の角度が約80°(膝よりも少し太ももが高くなる位置)となるように調整しておきましょう。
お腹に当てた指をしっかり押し返すよう意識することで腹圧を高めることが出来ます。
□方法
①イスに浅めに座り、背筋を伸ばします。そして下腹部に軽く手を当てた状態で、鼻から大きく息を吸います。この時胸だけでなくお腹まわりの360°全体に空気が入るようなイメージで膨らませていきましょう。
※腹部に当てた指を押し返すことで、腹圧を意識しやすくなります。
②お腹に当てた指の圧を変えないよう意識しながら、“おヘソ”に向かって肋骨を引き下げるように長く息を吐いていきます。この時、口をすぼめないようにしましょう。
これを1呼吸を1回とし、10回程度繰り返しましょう。
第7章【ここで差が出る!立ち姿勢の意識】
どんなに良いトレーニングをしていても、普段の意識が低ければせっかくの効果が発揮されないこともしばしばあります。ここで言う普段の意識とは、ズバリ姿勢です。
“正しい姿勢”を習得することで、ダイエット・ボディメイクの効果がグッと上がります。駅での待ち時間、家事の間の時間をあなたにとって大切なトレーニングの時間に変えていきましょう。
姿勢に関するコラムは本コラム以外にもいくつかアップしているため、こちらも参考にしてみてくださいね。
【重心を変えればダイエットは成功する!正しい姿勢を身に付けよう】
さて、まわりの目を気にせず足を腰幅程度に軽く開きましょう。
そして、更にその姿勢から頭が天井から引っ張られるようなイメージを持ちながら背筋を伸ばします。
このように、まるであやつり人形のように上から引っ張られた状態が最も姿勢を綺麗に保つことが出来るのです。
重力に対抗する意識を持ち、腹圧を維持し崩れかけた体の安定感を取り戻していきましょう。初めは少し疲れてしまうかもしれませんが、体の変化を必ず感じることが出来るはずです。
忙しい毎日だからこそできる取り組みがあるのです。
第8章【デスクワーカー必見!正しい座り姿勢】
やはり座り姿勢も気になる方は多いようです。立ち姿勢と同様に、頭を天井から引っ張られるようなイメージを持つことは大切ですが、もう1つ大切なポイントがあります。それは股関節の角度です。
このように、イスを低くすることで股関節は大きく曲がる必要が出てきます。しかし柔軟性の低下によって股関節の可動域が低いことで、骨盤の後傾や腰椎が過剰に曲がってしまう姿勢を取ってしまいます。いわゆる“猫背”でパソコンやスマホの作業をしてしまう理由がここにあるのです。
反対にイスが高すぎることで、胸椎や頸椎が過剰に曲がって前方にせり出してしまうこともあります。この姿勢では首への負担が大きくなり、首の痛みや肩こり、そして手の痺れなどの症状を伴う場合もあります。
しかし股関節の曲がる角度を80°程度(膝よりも少し太ももが高くなる位置)にすることで、あなたの悩みは解決するかもしれません。この角度では立ち姿勢と同様に股関節や骨盤、腰椎は安定し、頭を天井から引き上げるような姿勢を取ることが出来ます。
第9章【まとめ】
背骨は身体の中心として存在している分、様々な機能を担っています。重い頭を支える安定性は勿論の事、身体を曲げたり捻ったりする可動域が無ければ人間らしい動きはできません。しかし、長時間立った姿勢や座った姿勢を取り続けることは、現代人らしいとも言えますが、自然の動きとは異なります。
立ち方や座り方、教えられることは中々ありませんよね?トレーニングばかりに気を取られず、一度基本に立ち返ってみてはいかがですか?
くびれ美人パーソナルトレーナー
山戸