あなたが知るべきケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットの真実
かつてのダイエットの常識は現代には当てはまらない可能性があります。時代が変われば研究も進み、果たして本当に効果があるのか?どのような変化が起こるのか?などを証明するためのエビデンス、つまり証拠となる研究結果が毎日のように更新されています。
この中で本当に正しい情報を見つけるのは至難の業。
あなたがネットで見つけたダイエット法はどうでしょうか?ネットで出回ている情報が本当に正しいか、判断する術は正しい知識を身に付けること以外にないのです。
より健康的に、より継続的にダイエットに取り組みたいと思いませんか?
そこで今回のテーマは食事療法です。
その中でも特に取り上げたかったテーマがあります。それはケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットです。
名前だけは聞いたことあるけど、なんて方も多いかもしれませんね。
今回のテーマが、あなたが長年抱えていた食事に対する疑問を解決するヒントになるかもしれません。
目次
第1章【食事制限=引き算?】
食事に何か変化を与えようと考えると、大半の人がついついやってしまう事があります。
それが“引き算”です。
つまり食事を、栄養素を抜いてしまうことを示します。それだけではありません。厄介なことにただ食事を抜くこと(とにかく摂取カロリーを抑えること)ばかり意識して補うことをしなければ、必然的に栄養バランスが崩れ、美や健康からかけ離れてしまいます。
つまりあなたの普段の食事において、何が多すぎて何が足りないかを知ることが大切なのです。
それでは、食事制限の中でも“引き算”と“足し算”を組み合わせた食事療法について調べていきましょう。
第2章【ケトジェニックダイエットとは?】
ケトジェニックダイエット、もしくはケトン体ダイエットともいいます。
結論から言うと、3大栄養素と呼ばれる「炭水化物(糖質)」「タンパク質」「脂質」の内、「脂質を極端に多くとる」食事療法の1つです。
では極端に多くとは、具体的にどのくらいなのでしょうか?
厚生労働省や農林水産省が推奨する「食事バランスガイド」では、理想的な栄養素のバランス(PFCバランス)を炭水化物(糖質):タンパク質:脂質=60:15:25としています。
※PFCバランスは総摂取カロリーの割合のことを言います。
このバランスを、なんとケトジェニックダイエットでは炭水化物(糖質)5%・タンパク質15%・脂質80%にするのです。
圧倒的に脂質が多く、圧倒的に炭水化物が少ないのがわかりますね。
ではなぜケトジェニックダイエットではこのような栄養バランスになるのでしょうか?
この理由について調べていきましょう
2-1.脂肪を燃焼しやすくする脂質代謝モード
ケトジェニックダイエットでは炭水化物の摂取を減らし、脂質の摂取を積極的に行います。
この時大切なのがエネルギー消費の順序です。
実はエネルギー消費には糖質代謝モードと脂質代謝モードの2種類が存在します。
普段の身体は「糖質代謝モード」にスイッチが入っており、炭水化物の摂取により上昇した血液中の糖を真っ先に消費しようとします。
それに対してケトジェニックダイエットでは、このエネルギー消費の順序を変えて「脂質代謝モード」と呼ばれる血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪といった脂質を消費する経路の切り替えを行うダイエット法であると言えます。
2-2.脂肪はどうやって燃焼されるの?
ケトジェニックダイエットの狙いは、身体を糖質代謝モードから脂質代謝モードに切り替えることです。
この脂質代謝モードに入った体質をケトーシス体質と言います。
人間の身体は、通常は主にブドウ糖をエネルギー源として活動しており、そのブドウ糖の基となるのがいわゆる炭水化物(糖質)です。上述のように、ケトジェニックダイエットでは糖質の摂取をかなり抑えます。そして脂質の摂取を率先的に行うことによって、ブドウ糖の不足と、変わりの燃料となる脂質の補充を同時に行うのです。
そうすることで今度は脂質(血液中の中性脂肪)をエネルギー源として燃焼し始める機能(脂質代謝モード)に入るのです。
中性脂肪を分解し、身体がエネルギー源として消費しやすいようにしたものがケトン体です。つまり消費できるケトン体が体内に十分ある状態をケトーシスと呼ぶわけですね。
このことから、食事によって意図的にケトーシスの状態を作り出して体脂肪を燃焼しやすい体質に改善するのがケトジェニックダイエットの本質なのです。
2-3.糖質代謝モードから脱却したい理由
炭水化物(糖質)を摂取すると、血糖値は上昇します。すなわち糖の分解・吸収のスピードは早いのです。
本来食後に血糖値が上昇するのは当たり前ですが、炭水化物を摂取する量が多すぎると血糖値が上がりすぎる、もしくは正常値に下がるまでに時間がかかることが問題なのです。
ではなぜ血糖値を下げる必要があるのでしょうか?
理由は明らかです。
行き場のなくなった、つまり余った血糖は体脂肪に変換されるのです。
そして糖は必要以上に血液中に存在すると、血管や細胞を傷つけてしまう毒素となってしまいます。そのため血糖値を早急にコントロールする必要があるのです。
この血糖値を下げる役割を担うのが、インスリンと呼ばれるホルモンの1種です。
このインスリンがダイエットにとって非常に大切となります。
インスリンが大量に分泌された状態では「糖質代謝モード」にスイッチが入り、多少なりとも存在していた体脂肪の分解がストップしてしまいます。
つまり脂質をエネルギーとして消費する事ができない為、体脂肪として蓄えてしまうのです。
このように、糖質が多いだけで負の連鎖が始まる可能性があるのです。
第3章【体重を減らすにはケトジェニックダイエット?】
もともとケトジェニックダイエットは病気を治療する目的から始まった食事療法の1つです。
低炭水化物(低糖質)はもちろんですが、さらなる高脂肪食によって減量や健康を目指すイメージをしてもらえたらよいでしょう。
そして重大なポイントが1つ。上述したケトジェニックダイエットにおけるPFCバランスを見てもらえばわかるように、タンパク質の摂取量についてはあまり変化がありません。
つまりケトジェニックダイエットとは筋肉量をあげるものではなく、脂質の代謝を亢進させるような体質改善を図り、体重を減らすものなのです。
この時点で、ボディメイクとは少し違う印象を受けるかもしれませんね。
第4章【ケトジェニックダイエットのメリット】
ケトーシス状態における圧倒的なメリットは、体脂肪をエネルギーとして優先的に代謝できる体質になるということです。
そして血糖値の急激な変化がないことによる、体内環境の改善もメリットと言えるでしょう。
第5章【ケトジェニックダイエットのデメリット】
ある研究によると、ケトジェニックダイエットにおいて発生するケトン体を、長時間体内に蓄えることにはリスクがあると報告されています。
そのリスクとして取り上げられたのが骨粗鬆症。
ケトン体は酸性の物質であり、体内に大量に発生することによって身体全体が極端に酸化してしまいます。これを中和するのがカルシウムなのです。
つまり骨からカルシウムが溶け出してしまい、骨粗鬆症に発生する可能性があるのです。
そして糖質の摂取を制限することにより引き起こされるのが体全体の水分量低下です。
炭水化物と水分には密接な関係があり、むくみが酷い人は炭水化物の摂取が多い傾向にあります。
このように水分とセットである炭水化物を制限することにより、脱水症状による疲労感や腎結石、口臭や体臭の増加なども引き起こすとされています。
そしてコストがかかることもデメリットとなります。今まで炭水化物(糖質)によって摂取していたカロリーをタンパク質や脂質を多く含む肉類等で補う必要があるからです。
またケトジェニックダイエットでは筋肉のエネルギー源となるブドウ糖の量自体が減ってしまうことにより、トレーニング効率が下がる可能性があるとの報告があるのです。
もしあなたがケトジェニックダイエットをすると決めたなら、医師の相談は必要と言えそうですね
第6章【糖質制限ダイエットとは?】
糖質制限とはその言葉の示す通り、糖質を制限することによって1日の総摂取カロリーを抑えるダイエット法の1つです。
糖質を摂取しすぎると太る理由は、2-3.糖質代謝モードから脱却したい理由をご覧くださいね。
6-1.糖質はなぜダイエットでは悪者?
基本的に糖質はダイエットを試みる多くの方にとっては悪者になってしまいます。
それはまず、誘惑に駆られる多くの食べ物に大量に含まれるからです。
糖質という文字から、「糖質=砂糖などの甘いもの」と思われる方も多いかもしれませんが、実際は違います。
糖質はお米(お米を使ったスナックを含む)やパン、オートミール等、そして麺類にもちろん多く含まれます。そして実はほとんどの根菜類(ジャガイモやサツマイモ)に糖質が含まれるため、意識しなければ毎日うっかり大量に摂取する可能性が高いのです。
6-2.なぜ糖質を摂りすぎると太るのか
糖質は体内でブドウ糖に変換されます。このブドウ糖は体中あらゆる所でエネルギー源となります。つまり消費量自体がもともと多いため、人間は主食に炭水化物を多く含む食べ物を選択してきたのです。
しかし食生活や生活習慣の変化により、糖質の摂取量が増え、糖質(エネルギー)消費量が減りました。
このため摂取した糖質は体内で消費しきれず、インスリンと呼ばれるホルモンの働きで体内に脂肪として蓄積されてしまいます。これが体脂肪の増えるメカニズムとされています。
6-3.太りたくなければ絶対にやってはいけない糖質の取り方とは?
食事前にお腹が空いて、ついうっかりお菓子などの間食を食べました。なんてよくある話です。
問題はこの後です。
間食を食べたあと、食事はいつも通り食べられましたか?
いつもより食べる量が減った、なんてことがあるはずです。もちろん間食を食べたあとでもいつも通りしっかり食べられるのであれば、摂取カロリーが増えているのでそれも問題ですが。
食事量自体が減った原因は、間食によって胃が膨れただけではなく、血糖値が急激に上昇したためなのです。
血糖値が上昇すると脳の満腹中枢に作用し、身体は満腹であると勘違いしてしまいます。これにより、本来必要な食事による栄養素を摂ることができなくなってしまいます。
つまり本来必要ではない高カロリーな食品や甘いものなどばかりを食べて、身体を作るために必要な食事をしないという食事習慣では、身体は余った糖質を体脂肪として蓄えるだけでなく、糖尿病のリスクも高めてしまうのです。
第7章【過剰な糖質摂取による美容への悪影響】
実は糖質を過剰に摂取し続けることで、肌の状態を悪化させたり、老化現象が進行してしまう可能性があるのをご存知ですか?
毎日の食事の中で大切なPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物のバランス)。
過剰な糖質の摂取によってこのバランスが崩れてしまい、肌トラブルや老化の引き金となるのです。
この現象を「糖化」と言います。
糖化は誰にでも起こりうることで、美と健康に大きなダメージを与えてしまいます。
あなたの食事を見直すきっかけとなればうれしいですね。
7-1.老化の原因は“糖化”
糖化は肌を老化させる大きな原因の1つです。
パーソナルトレーニングを受け、美しく綺麗な身体を目指す人にとって肌トラブルは大きな問題となります。
肌の弾力やハリ、みずみずしさを保つのはコラーゲンやヒアルロン酸です。
糖化は、このコラーゲンやヒアルロン酸を変化させてしまい、それがくすみとして肌に現れるのです。
つまり細胞に変化を与えてしまうため、筋肉を作る細胞にも悪影響を及ぼします。
糖化が細胞のターンオーバーを妨げることによって、若々しさや美しさとはかけ離れてしまうのはさみしいですね。
7-2.糖質はタンパク質を劣化させる
糖質は身体の重要なエネルギー源です。糖質が無くなれば全身は栄養不足となり、頭もシャキッと働かなくなってしまうこともあります。
そんな大切な糖質がなぜ老化の原因となってしまうのでしょうか?
その原因が、エネルギー源として消費されずに余った糖質とタンパク質が結合することにあります。
タンパク質は糖質と結合することによって細胞自体の柔軟性を低下させ、劣化させてしまうのです。
特に血管を老化させることも報告されており、血管の老化が進むと全身の老化を速めてしまうことも事実です。
血管は全身に張り巡らされており、栄養を運ぶ血液の経路がガタガタになってしまえば、身体全体が栄養不足に陥ってしまうのがわかりますね。
7-3.糖化を食い止めるにはまず意識から
ある日突然“糖化”が起こるというわけではありません。
毎日の食事があなたの身体を作っており、そこに例外はないのです!
つまり糖化とは誰しもが起こりうる現象であり、美しく健康である為には知っておくべきことなのです。
日々の食事をもう一度見直してみませんか?
炭水化物の摂取割合が多ければ多いほど糖化、つまり老化は進みます。
7-4.糖質の摂取はなくすべき?
ここまで糖質の悪い点について取り上げて参りましたが、決して間違えて欲しくないポイントが1つあります。それは炭水化物を完全にカットしては逆効果だということ。
過剰に摂取しすぎた糖質は問題ですが、少なくとも糖質は必要です。糖質そのものが悪者では決してなく、糖質は身体を動かすエネルギー源として必要不可欠だということは是非知っておいてほしいのです。
つまり身体のエネルギー源として使う量を超えた過剰な摂取が問題なのです。
7-5.糖化を加速させる原因
血糖値という言葉をご存知ですか?
その名の通り、体内(血液中)に存在する糖質を数値化したものです。糖質の高い食品を摂取し続けることにより、血糖値は上昇し続けます。この血糖値が高ければ高いほど体内に糖質が多すぎる状態を示しており、糖化を加速させる原因となります。
それだけでなく、消費しきれない糖質は水分などのように体外に排出されるわけではありません。体脂肪として蓄積せざるを得ないのです。
第8章【糖質制限ダイエットによるメリット】
ダイエット法には様々あり、もちろんどれにもメリット・デメリットが存在します。
糖質制限によるメリットとして、糖質さえ摂取量をコントロールすることができればそこまで面倒なカロリー計算をしなくて済むということです。
つまり肉や魚、卵や大豆製品、そして乳製品などはそのままに、お米やパン、パスタなどの炭水化物の量をコントロールすれば良いのです。
お酒に関しても、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒であれば完全に我慢しなくても大丈夫というのは大きな魅力ですね。
第9章【糖質制限ダイエットによるデメリット】
糖質制限ダイエットは比較的簡単という印象を持ったのではないでしょうか?
しかしそこに大きな落とし穴があるかもしれません。
糖質制限とは糖尿病や肥満症など糖質の過剰な摂取に伴う症状を抑えるのが本来の目的の食事療法であり、比較的短期間で体重をコントロールできるとされています。
多くのメディアで取り上げられているのは事実ですが、誤った情報が多く出回っているのも事実というのも知っておいてください。
誤った情報としてよく上がるのが、糖質を制限すれば肉類などはいくらでも食べてよいと思っている方が多いということです。もちろん、栄養バランスも崩れてしまいますので、例えば食物繊維の不足による体内環境の悪化も考えられるでしょう。
つまりデメリットとして誤った知識によって栄養バランスを崩す可能性があるということです。
具体的に何をどれくらい制限すればいいのか、どの食品を食べればいいのか判断に迷うケースも多々あります。
とりあえず食べるのをやめる。これにより健康を害するだけではなく、リバウンドやストレス増加などの多くの問題を引き起こしてしまいますね。
そして糖質制限には向き・不向きがあるのもデメリットの1つです。
例えば普段の食事量自体が多く、ご飯や麺を大盛りで食べたり間食が多い、すなわち摂取カロリー自体が多い人は、糖質制限ダイエットによって摂取カロリーを減らす事ができるため向いていると言えるでしょう。
しかし元々の食事量が少ない人には逆効果であると言えます。
つまり、摂取カロリー自体が更に減ってしまうため身体全体が体脂肪を消費しづらい省エネ体質となってしまい、基礎代謝が低下した痩せにくい体質となってしまう可能性があります。
第10章【糖質制限ダイエットとケトジェニックダイエットの違い】
ここまで、ケトジェニックダイエットと糖質制限それぞれの方法をご紹介しました。
まず共通する点としてあげられるのは、どちらも糖質の摂取自体を減らすということです。
では決定的な違いはなんでしょうか?
それは、タンパク質食中心の食事にするか、脂質中心の食事にするかです。
つまり糖質制限ダイエットは出来るだけ高タンパク質食品である肉や魚、豆腐や豆類などを摂取し、主食(お米やパンなど)を控えて総カロリー摂取量を抑える食事法だという事です。
それに比べケトジェニックダイエットは主食(糖質)の摂取を減らし、脂質中心の食生活に変化させて、体脂肪の消費を優先的に行わせる食事法の1つです。
第11章【まとめ】
いかがでしたか?
体重を減らすという1つの目的でも方法は様々あり、あなたの目的や体質に合わせて実践する必要があると言えますね。
そしてやはりデメリットを十分理解した上で食事制限をしなければ、体調を崩したり逆に筋肉が落ちて身体のメリハリが無くなってしまう可能性があります。
くびれ美人では、糖質制限ダイエットやケトジェニックダイエットを推奨しておりません。
あくまで栄養バランスの改善であり、大きく変えてしまうようなストレスの要因を作る必要はないのです。
つまりくびれ美人では糖質の制限ではなく糖質の内容に着目し、筋肉が付きやすい食事の摂り方に重点的に指導しています。
筋肉がつけばおのずと消費エネルギー量が増え、痩せやすい体質となる大原則を忘れてはいけないのです。
そしてパーソナルトレーニングではもちろんトレーニングを行います。筋肉のエネルギー源は糖質であり、この糖質を制限してしまえば決して良いトレーニングは出来ないのは明らかです。
この観点からすると、糖質の完全なカットはリスクでしかありませんね。
健康的で美しい身体を手に入れるためにも、摂取の割合・バランスは大切ということです。
もしあなたがこれからダイエットを始めようと思うのであれば、普段の食事に目を向けた上でトレーニングにチャレンジしてみませんか?
ご相談お待ちしております。
くびれ美人パーソナルトレーナー
山戸