ダイエットに脂質は禁物?【いいえ違います】
身体の形を変えてしまうほどついてしまった体脂肪。
もしかして、脂質を摂り過ぎた事が肥満の原因だと思っていませんか?
くびれ美人のコラムを愛読されている方はご存知かと思いますが、体脂肪が蓄積される主な原因は糖質です。
寧ろ脂質は身体を支える様々な機能を保つために必要な栄養素。
細胞を覆う細胞膜をはじめ、消化酵素やホルモンを作るために脂質は必要不可欠なのです。
それどころか、脂質を正しく摂取すればダイエットの成功率は高まります。
そこで今回は、ダイエットするなら知っておくべき良い脂質と悪い脂質について取り上げていきましょう。
目次
第1章【なぜ脂質にこだわるべきなのか】
そもそも身体に“良い”脂質とは一体何なのでしょうか?
それを知るためにも悪玉コレステロールと善玉コレステロールについて知っておく必要がありますので、まずは少し整理しておきましょう。
1.悪玉コレステロールと善玉コレステロール
冒頭でも少し解説したように、コレステロール(いわゆる脂質)は身体を構成するための細胞やホルモンなどの材料となります。
そしてコレステロールには2種類あり、それぞれ悪玉コレステロールはLDL、善玉コレステロールはHDLと呼びます。
つまり LDLに運ばれるコレステロールをLDLコレステロール、 HDLに運ばれるコレステロールをHDLコレステロールと呼ぶ訳ですが、実はこれら2つはコレステロールを運ぶ経路に関しては全く逆の働きをしています。
全身を巡る血管壁からコレステロールを回収して肝臓へと運ぶ。
肝臓からコレステロールを抜き取り、血流を介して全身にコレステロールを運ぶ。
肝臓へと運ばれたコレステロールは栄養素の1つとして代謝される訳ですが、LDLの作用によって血液内に過剰に漂うコレステロールが血管壁にへばりつくことで様々な問題を引き起こしてしまいます。
これこそが脂質(コレステロール)にこだわるべき理由なのです。
2.悪玉コレステロールが増えることによるリスク
コレステロールという脂質がどのような経路で身体を巡っているか分かったところで、次は悪玉コレステロールが増えることによるリスクについて解説していきましょう。
まず何より、血中のコレステロール値が増えることでコレステロールが血管壁に溜まります。すると血液の通りが悪くなるため血栓ができやすく、そして動脈硬化を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
これにより心筋梗塞や脳梗塞、そして狭心症など、血液の流れが悪くなることで引き起こされる疾患のリスクが高くなるのです。
これに対してHDLは血管壁から余分なコレステロールを肝臓に運ぶため、へばりついたコレステロールを除去して疾患リスクを下げることが出来ます。
HDLが“善玉”コレステロールと呼ばれる所以はここにあるという訳ですね。
3.脂質異常症とは
以前は高脂血症として認知されていましたが、今現在では脂質異常症と呼ばれています。
脂質異常症とは血液中の中性脂肪(トリグリセライド)やLDL(悪玉コレステロール)が多い状態、もしくはHDL(善玉コレステロール)が少ない状態を表しており、血液がドロドロで詰まりやすいという指標の1つとなります。
【高トリグリセライド血症】
トリグリセライド≧150mg/dl
【高LDLコレステロール血症】
LDLコレステロール≧140mg/dl
【低HDLコレステロール血症】
HDLコレステロール<40mg/dl
コレステロール値に異常があると、前述したような脳梗塞や心筋梗塞、狭心症など動脈硬化に伴う血管系の疾患リスクが高まり、健康を大きく損なう可能性があります。
その原因として運動不足はもとより、偏った食生活を繰り返すことによる栄養バランスの崩れが考えられるのです。
4.中性脂肪について
中性脂肪とは体内でエネルギー源として消費される脂肪全般のことを言います。
食事から栄養素として摂取するだけでなく、肝臓にも蓄えられており(HDLコレステロールが肝臓に運搬)、エネルギーとして消費されずに余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられています。
運動時、まず初めにエネルギー源として糖質が消費されますが、糖質が不足することで中性脂肪が消費されるようになります。
また皮下脂肪や内臓脂肪などの体脂肪は体温を保つために必要不可欠であり、体脂肪が低すぎることも問題なのです。
一方コレステロールは細胞膜やホルモン、そして脂質の消化吸収を助ける胆汁酸の原料となり、毛髪や皮膚を滑らかにする働きもあります。
どちらも血中の脂質であることは間違いありませんが、その役割の違いについてここで整理しておいてください。
第2章【身体にとって“良い”脂質】
さて、ここまで脂質(中性脂肪やコレステロール)が身体にとってどのような影響を及ぼすのか解説してきました。
ポイントをまとめていきましょう。
▪中性脂肪の数値は下げるべき(根本的に脂質が多いのはNG)
▪ただし脂質が少なすぎると低体温や免疫力の低下、肌荒れ、抜け毛につながる
このように適度な中性脂肪やコレステロール値を保つことは、健康と美容にとって必要なことがわかりますね。
つまり身体にとって“良い”脂質とはあくまで量の事であり、摂ればよい・減らせばよいという訳ではないのです。
第3章【摂るべき脂質を知ろう】
あなたの全身にまとわりついた体脂肪。
その原因は脂質の摂りすぎというよりは、糖質の摂りすぎが主な原因です。
余剰となった糖質が体脂肪に変換される過程については以前投稿したコラム【あなたが知るべきケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットの真実】にて詳しく解説しておりますが、要はエネルギー源として消費出来ない分は体脂肪に変わるしか選択肢がありません。
繰り返しとなりますが、脂質は身体にとって栄養素となるだけでなく、全身の細胞を整える潤滑油のようなものであり、減らすよりも、適切に摂取する必要があるのです。
以下の2つが意識的に摂取すべき“良い”脂質となります。
オメガ3系脂肪酸
中鎖脂肪酸
それではそれぞれ見ていきましょう。
①オメガ3系脂肪酸
美意識の高いあなたなら、名前を耳にしたことはあるかもしれませんね。
そんなオメガ3系脂肪酸は、健康維持に欠かすことが出来ない重要な脂質の1つです。
青魚に含まれる脂DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、そしてα-リノレン酸はオメガ3系脂肪酸に分類されます。
これらの脂質は中性脂肪を減らして悪玉コレステロールを体外へ排出する働きがあるため、体脂肪の代謝に大きく役立つことがわかりますね。
▪サバ
▪サンマ
▪イワシ
▪アマニ油
▪えごま油 etc…
また補足としてオメガ6系脂肪酸とオメガ9系脂肪酸についても触れておきます。
オメガ6系脂肪酸は体内で作ることが出来ず、食物から摂取する必要がある必須脂肪酸ですが、一般的な植物油だけでなく多くの食品に含まれるため、そこまで積極的に摂取する必要はありません。
それに対しオメガ9系脂肪酸は体内で合成される脂肪酸であり、酸化しにくいため摂取しやすいのが特徴です。
②中鎖脂肪酸
続いて中鎖脂肪酸について詳しく見ていきましょう。
MCTオイルという名前を聞いたことがありますか?もし無いのであれば、本コラムを読むことで解決します。(MCT:Medium Chain Triglyceride)
一言で表せば、体脂肪として蓄積されにくい脂質の事を言います。
なぜ体脂肪(中性脂肪)として蓄積されにくいのかというと、小腸で吸収された後に肝臓に運ばれた中鎖脂肪酸は他の脂質と比較して素早くケトン体に変換され、エネルギー源として利用されるからです。
そのため、医療の分野だけでなくスポーツ分野においても積極的な摂取が推奨されるようになりました。
▪MCTオイル
▪ココナッツオイル etc…
研究によると、中鎖脂肪酸(MCT)はサラダ油などの一般的な油と比較して約4倍も早く分解されてエネルギー源となることがわかっています。
MCTオイルの味はほとんど無味無臭のため、1日あたり小さじ1~2杯をスープなどに入れると良いでしょう。※140~150℃で発煙するので揚げ物には向かない。
第4章【避けるべき脂質とは何か?】
摂るべき脂質について理解できたところで、次は避けるべき“悪い”脂質をご紹介しましょう。
それはトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸は油脂を加工・精製することによって出来るものですが、一体なぜ身体に悪影響を与えてしまうのでしょうか?
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニング、そしてこれらを使ったパンやドーナツなどに多く含まれる訳ですが、身体に悪い理由は単に高カロリーなだけではありません。
本来油脂は常温では液体ですが、半固体もしくは個体の油脂を生成する技術として水素添加があり、これによってトランス脂肪酸は作り上げられます。
そして問題はここから。
トランス脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させることがわかっており、ここまでで何度も述べたように、中性脂肪の増加や心臓血管系疾患のリスクが高まるのです。
第5章【まとめ】
いかがでしたか?
脂質と聞いて、すべての脂質がダイエットにとって悪者であると勘違いしていませんか? 糖質を控え、そしてオメガ3系脂肪酸や中鎖脂肪酸(MCT)を意識的に摂取し、内臓脂肪が燃えやすい身体を作り上げていきましょう。
何事も摂りすぎは禁物です。
そして取らなさすぎも禁物だということを知り、ぜひ今後のダイエット生活に役立ててみてくださいね。
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山戸 勝道
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