【筋膜】ワンランク上のカラダへ!歩き方から見たボディメイクのコツとは?
綺麗なカラダを手に入れるために、あなたには何が必要だと思いますか?
健康的な食事?
適度な睡眠?
それともウォーキングやランニングなどの有酸素運動?
もちろんどれも大切な要素と言えるでしょう。しかしそれだけではあなたの体型に劇的な変化をもたらすのは難しいでしょう。
あなたは体重が減れば体型も必ず変わると思っていませんか?実がこれは必ずしも事実ではないのです。
体重が減ったとしても、二の腕のたるみや大きなお腹はそのままかもしれません。
それは筋肉量や筋肉のバランスが大きく関係しているからです。身体のシルエットを作り上げるのは筋肉そのものであり、そしてバランスの良い筋肉を効率よく鍛えるポイントが筋膜にあります。
それではワンランク上のカラダの為に必要なボディメイク法を、筋膜を交えてご紹介致します。
目次
第1章【ボディメイクって何?】
やはりトレーニングのイメージとして、“ボディビル”の印象が強い方はまだまだ多いようです。そして最近トレーニングを行う方の中でも、“フィジーク”という言葉が多く聞かれるようになりました。そこでまずはボディビルやフィジーク、ボディメイクの違いについておさらいしておきましょう。
1-1.ボディビルの定義
広辞苑で調べてみると、「ボディビルディング(Bodybuilding)の略で、バーベルやダンベルなどを使用して逞しい筋肉を作ること」と定義されています。
単に走ったり泳いだりして筋肉を作るのではなく、科学的な手段で筋肥大のみにフォーカスを当ててトレーニングを行う技術がボディビルです。
競技としてのボディビルは、日頃の厳しいトレーニングで鍛え上げられた全身の筋肉の発達度、ダイナミックさ、美しさ、またバランスなどを競い合う個人スポーツなのです。
(日本ボディビル・フィットネス連盟HPより一部抜粋)
1-2.最近流行りのフィジークとは?
簡単に説明すると、「筋肉が全体的にバランスよく付いているか」を審査する競技です。ボディビルでは逞しく発達した大きな筋肉と、限界まで脂肪を落として左右対称的な体が評価されますが、フィジークの場合は「サーフパンツが似合う体」をコンセプトとしており、
逆三角形の体(広い肩幅と細いウエスト)や髪型、雰囲気が重要視されるようです。
1-3.あなたが挑戦すべきはボディメイク
結論から言うと、ボディメイクとは「一般的な視点から見て魅力的なカラダをつくる」ことだと思ってよいでしょう。通常、トレーニングとはスポーツ競技やリハビリテーションなどの特別な目的に対して行うのが主流です。このように何かに特化した肉体を作ることはボディメイクとは呼べません。外見を整え、人生をより有意義にしようとする為のトレーニングがボディメイクなのです。
第2章【ボディメイクを成功させる秘訣は“筋膜”!】
さて、ボディメイクを始めるというあなたの意志が固まったところで、実際にトレーニングを開始していきましょう。
そこで今回ポイントとなるのは、“筋膜”と呼ばれる全身の筋肉を覆う膜状の構造です。
筋肉は1つ1つ別の組織として成り立っていますが(力こぶ筋や腹筋など)、人間らしい滑らかな動きを実現するために、筋膜が全身の連動を担っています。例えて言うならば全身を隙間なく覆うウェットスーツのような存在です。伸縮性のあるウェットスーツであれば、身体の動きを邪魔することはありませんが、もしこのウェットスーツが硬く縮んでしまったりヨレてしまえば動きづらく着心地が悪くなるのは容易に想像がつきますよね。
“曲げる”“伸ばす”といった単純な動きで筋肉を鍛えるだけでは、モデルのような美しく整ったカラダを目指すことはできません。
それでは美しいカラダを作る為に不可欠な筋膜の構造を確認していきましょう。
2-1.動けるカラダは美しい!ファンクショナル・ラインを鍛えよう
ファンクショナル・ライン(FL)は、体幹の前面を通って反対側の骨盤と足を繋いでいます。そして体幹の後面では、上腕骨から仙骨(骨盤の中央)を通って反対側の膝まで繋いでおり、前後で挟むようにして身体をコントロールしています。
このように身体を斜めに走行するため、主に運動やスポーツその他の活動時に機能してバランスを保っています。例えば、陸上競技のやり投げや野球の投球動作があり、選手は左の下肢と股関節を通してパワーを強化し、右手から投げられる物体に更にスピードをつけることができます。
しかしなぜこのファンクショナル・ラインがボディメイクに必要なのでしょうか?
それは、“歩く姿勢”に大きく関与するからなのです。
2-2.“歩き”が変われば“姿勢”が変わる
(参照記事URL→【歩くだけで出来る!ディープ・フロント・ラインを活性化させる方法】)では立ち姿勢からの歩行をお伝えしましたが、今度はダイエット効果を高めるだけでなく、美脚の為にウォーキングの正しいフォームを解説していきます。
美しく、いつまでも若々しい人の歩く姿勢は滑らかでとてもカッコよく見えた経験はありませんか?
美しく見える理由として、広背筋と大殿筋の連動が上げられます。これら2つの筋肉は前述した今回のテーマであるファンクショナル・ラインで筋膜を介して繋がっており、まさに機能的(ファンクショナル)に効果を発揮しています。
第3章【背中を使って歩こう】
歩くとき、足の動きに注意してみたことはありますか?何気なく歩いているならば、自ら美しいカラダを手に入れるチャンスを逃しているといっても過言ではありません。
そこで重要な筋肉である広背筋と大殿筋について詳しく見ていきましょう。
3-1.広背筋と大殿筋が生む美しい姿勢
広背筋とは、腕から背中を繋ぐ身体の中で最も面積が広い筋肉です。ここで知っておくべき主な作用は、腕を後ろに引く動きです。この後ろに引く動きがまさに歩くために必要となります。
大殿筋は骨盤の後面にある小殿筋や中殿筋を覆うように存在しています。そして日常生活では主に、立ち上がる動作や歩行時に足を後ろに送る動作を担っています。
また広背筋と反対側の大殿筋は胸腰筋膜を介して繋がっており、上半身の動きと下半身の動きの連動が生まれます。そして筋膜は筋肉を動かすための電気刺激をまるで数珠つなぎのように伝達させ、人間らしい滑らかな動きへと発展するのです。
第4章【“モテウォーク”の為の筋膜リリース】
正しい歩き方の為に、まずは硬くなったファンクショナル・ラインを構成する筋肉の柔軟性を取り戻していきましょう。
柔軟性を取り戻すことでトレーニング効率を高めるだけでなく、血流循環を改善させて冷えやむくみを軽減させる効果も期待できます。
4-1.広背筋リリース(広背筋ストレッチ)
広背筋の硬さを取り除くことで肋骨の可動域を広げ、体幹を捻りやすくし、腹斜筋を活性化しやすくします。
□方法(右側の場合)
①柱やラックなど、固定されているものを掴みます。
②右足を図のように後方に下げ、身体を右側に捻ります。
③脇腹から腰の側面までストレッチ感が出たら、その状態で30秒キープしましょう。
この時、ゆっくり大きく深呼吸を組み合わせると、より効果的に広背筋をストレッチすることができます。
4-2.お腹リリース
身体の前面にあるファンクショナル・ラインをリリースしていきます。うつ伏せになるだけでなく上半身の捻りを入れることで、斜めに走る筋膜を効果的にリリースすることができ、背中やお腹まわりの引き締め効果を高めることが出来ます。
□方法
①うつ伏せとなり、両手を支点にした状態で上半身を起こしていきます。そして図のように片足を引き上げ、骨盤が動かないように固定します。この時お腹に軽く力を入れ、下腹部にある恥骨は床から離さないように注意しましょう。
②足を引き上げた側に上半身を捻っていきます。お腹から伸ばした側の股関節の付け根が伸びる感覚が出てきたら、その位置で30秒ほどキープしましょう。
4-3.マーメイドのポーズ
ファンクショナル・ラインでポイントとなる広背筋と大殿筋を同時にストレッチすることができます。
この2つの筋肉を同時にストレッチすることで、歩行時の筋肉の連動を意識しやすくなるだけでなく、腰からお尻にかけたS字カーブを作りやすくなります。
ストレッチポールには色々な活用法があるため、使用用途が多いトレーニングアイテムです。
□方法
①ストレッチポールの左側に平行になるように座ります。この時両膝は90°に曲げ、図のように右膝は正面、左膝は左側に向くようにします。
②右手をストレッチポールに乗せ、左手を大きく弧を描くようにして左手も乗せましょう。
③ゆっくりとストレッチポールを転がすように体を遠くに伸ばしていきます。
左の脇腹と右の殿筋にストレッチ感が出てきたら、その状態で体勢をキープし、深呼吸を5回繰り返しましょう。反対側も同様に行います。
第5章【ファンクショナルに鍛えて“モテボディ”になろう!】
5-1.バード・ドッグ
大殿筋と背中まわりの筋肉(脊柱起立筋など)の連動を高め、姿勢の改善とともにヒップアップ効果も期待することができます。
□方法
①四つ這いの体勢を取ります。この時、肩と股関節の真下にそれぞれ手首と膝がくるようにしましょう。そして背筋を伸ばし、頭から尾骨にかけてまっすぐになるよう注意します。この時お腹に軽く力を入れておくことで体が安定します。
②お腹の力を抜かないように注意して左腕と右足をまっすぐ伸ばし、左の肩甲骨まわりと右のお尻に力が入っていることを意識します。そして上げた左手と右足が下がらないよう意識し、バランスを崩さないようにしましょう。
※手の指から踵まで一直線になるように注意しましょう。
③伸ばした左腕と右膝をヘソの位置でタッチします。この時お腹まわりにしっかり力が入るように背中を少し丸めましょう。この曲げ伸ばしを片側10回ずつ行いましょう。
※腰が横に逃げたり、肩がすくまないように注意しましょう。またバランスを崩しやすいので、動作はゆっくり丁寧に行うことが大切です。
5-2.スライドボードを使ったエルボーニータッチ
サイドキープなどの固めるような体幹トレーニングを工夫することで、身体をより機能的(ファンクショナル)に鍛えることができます。手足の動作を伴うため、全身運動によるアンチエイジングや引き締めなどのシェイプアップ効果が期待できます。
□方法
①右側を下に横向きになり、肘を支点に身体を落ち上げます。この時足から頭までが一直線になるように注意しましょう。そして右足をスライドボードに置き、左腕は図のように伸ばしておきます。
②背筋は伸ばしたまま固定し、右足を滑らせながら膝を引き上げ、左肘とヘソの前でタッチさせましょう。これを10回行いましょう。(反対側も同様)
※身体前面のファンクショナル・ラインだけでなく、左の内転筋や右の脇腹といったボディメイクに必要な他の筋肉も鍛えることが出来ます。
また、スライドボードが無ければ靴下やタオルを使って滑りやすい環境で行っても良いでしょう。
5-3.片脚ダンベルローイング
広背筋を鍛える為に多く用いられるダンベルローイングですが、片脚を浮かして後方に伸ばしながら行うことで大殿筋を活性化させ、身体後面の広背筋と大殿筋を繋ぐファンクショナル・ラインを鍛えることができます。
□方法
①ベンチに右手を付き、左手でダンベルを持ちます。そして一度右膝を付いた状態で背筋を伸ばし、体勢を整えます。
②右足をまっすぐ伸ばし、(-.バード&ドッグ)のようにお尻を使う意識を持ちましょう。この時左足は膝を軽く曲げた状態にしておきます。
③「②」の体勢をキープしたまま、肩甲骨を中心に引き寄せるようにダンベルを引きましょう。これを10回3セット行います。(反対側も同様)
※この時、体幹がブレないように脇を閉じながら肘を引くことで、広背筋の収縮を強く感じることができます。
5-4.ケーブルローイング+ニーアップ
ケーブルマシンを使って、広背筋と大殿筋を鍛えることができます。(-.片脚ダンベルローイング)とは異なり全身の動作やバランス能力を伴うため難易度が高く、まさにファンクショナル・ラインのための種目と言えるでしょう。
※実施する際は、パーソナルトレーナーのアドバイス受け安全に配慮しましょう。
□方法
①ケーブルの高さを腰の高さにセットし、左手を腰に当てます。
②背筋を伸ばしたまま、股関節から折りたたむように上体を前傾させていきます。この時体が捻れないように注意しながら右足を後方に伸ばしていきます。
③軸足である左足の大殿筋を意識しながら上体を起こしながら、右手でケーブルを後方に引いていきます。これにより左側の大殿筋と右側の広背筋を活性化させていきます。
これを10回3セット行いましょう。(反対側も同様)
5-5.ケーブルチョップツイスト
ケーブルマシンを用いて、身体前面のファンクショナル・ラインを鍛えていきます。(-.ケーブルローイング+ニーアップ)と同様に片脚でのバランス能力が必要なため、運動レベルに応じて重さを調整しましょう。
ケーブルは軌道が安定しないため、ボディメイクに大切な腹斜筋に刺激を入れる事が可能なだけでなく、膝を上げる動作を行うことで軸足のヒップアップや、立ち・歩行姿勢の改善にも大きな効果を発揮します。
□方法
①ケーブルマシンの左側に立ち、ケーブルの高さを45°になるくらいの高さに調整します。
そして肘を伸ばし、指をかますようにグリップを持ちましょう。
図のように足を前後に開き、腰を少し落とします。(右足を前、左足を後ろ)。
②下半身がブレないように注意し、肘は伸ばして体の正面にキープしながら左下方にゆっくり引いていきます。この時、右の脇腹を意識しましょう。
③ケーブルを引いたまま、マシンと反対側の膝を上げた姿勢でキープしましょう。
これを左右10回3セット行っていきましょう。(反対側も同様)
第6章【ボディメイクのコツ】
ただ体重を落とすのではなく、
「二の腕を細くしたい」
「ウエストを引き締めたい」
「引き締まったお尻になりたい」
このような目標があるのであれば、その瞬間からあなたが行うべきはボディメイクです。
つまり「達成目標」を定めて「なりたいカラダ」をイメージし、「目標から逆算したトレーニング計画を立てる」ことが大切なのです。
5kg痩せたい!10kg痩せたい!といった体重の目標はあるかもしれませんが、体重にばかり固執しても良いことはありません。もしかすると、あなたが頑張って減らした体重は脂肪ではなく筋肉かもしれないのです。これでは見た目のバランスはあまり変わらないどころか、より貧相になっている可能性だってありますよね。
第7章【まとめ】
ボディメイクを成功させるために、より効果的なトレーニング種目をご紹介致しました。
特に今回は身体の前面と後面を形作る筋膜(ファンクショナル・ライン)の繋がりをご紹介しただけでなく、その筋膜に関連した筋肉である広背筋と大殿筋の連動を意識したトレーニングをご理解いただければ幸いです。
筋膜は全身を覆うウェットスーツのような存在であることはご説明しましたが、これはつまり少しの変化で全身に影響を与えてしまう可能性があることを表しています。筋膜の歪みによって姿勢の歪みに発展し、肩コリや腰痛といった不調だけでなく、プロポーションの低下や痩せにくい身体に変化してしまうことは、防げるが故に実にもったいない身体を変化と言えるでしょう。
弱い筋肉“だけ”を鍛えたり、痛い所だけほぐしたりといった対症療法に満足していませんか?
筋膜を整えて身体を1から見直し、無理のないボディメイクを始めましょう。
くびれ美人パーソナルトレーナー
山戸