若いから四十肩にはならないの?年齢のせいだけじゃない肩の痛み
仕事や家事、そしてプライベートに大忙し。
そんな充実した日々のはずなのに、肩の痛みは全てのリズムを狂わせてしまいます。
「これってただの肩こりじゃないの?」
もしかすると、それは四十肩や五十肩かもしれません。
まだそんな年齢じゃないのに!と思っているかもしれませんが、最近では肩の痛みが低年齢化しているのです。 昔から自分は肩こり体質なのだと思い込んでいませんか?
そこで今回は、パーソナルトレーナーが教える肩が上がらない方必見のセルフケアトレーニングをご紹介しましょう。
目次
第1章【四十代は皆肩が痛いのか?】
もし普段から肩の痛みに悩み、誰かに相談しているのであれば、きっと肩が痛い人があなたのまわりに集まっているように思うでしょう。
つまり、肩が痛いことが普通のことだと錯覚してしまいます。
しかし断言します。
肩が痛いのは偶然ではなく、あなた自身の身体の使い方に問題があるのです。
また四十肩・五十肩などは正式な疾患名ではなく、実際は肩関節周囲炎と言います。
そしてその名の通り関節の周囲に炎症が起こる疾患であり、発症する年齢が40代以降増加傾向にあるため、俗称として四十肩・五十肩と呼ばれるようになりました。
それでは使い方に問題があると身体にはどのような変化が現れるのでしょうか?
1.関節や腱の炎症が起こる
実際に私が痛みの説明を行う時によく使う表現をご紹介しましょう。
痛みはバケツに溜まる水のように、溢れて初めて痛みを感じるようになる。
つまり痛みに至る過程は気付きにくく、感じない程度の微細な炎症は既に起こっている可能性があるのです。
2.日常生活が大切
それでは一体どうすれば良いのでしょうか?
答えは簡単です。
普段から身体の使い方を意識すれば良いのです。
パソコンやスマホを操作する姿勢は勿論のこと、極端に言えば何でもない立ち姿勢から改善する必要があります。
↓デスクワーカーが絶対するべき運動とは?↓
第2章【肩の痛みを引き起こす原因は段階的】
ある日突然発したかと思っていたその痛み。実は知らないうちに蓄積されたダメージが原因であることがご理解いただけたのではないでしょうか。
それでは次に、どのような過程で痛みや身体の変化が生じるのか詳しく見ていきましょう。
①腱が炎症を起こす
②炎症が治まるor腱が切れる
③組織が癒着する
④痛みや可動域の制限が回復する
①腱が炎症を起こす
痛みが発症するメカニズムの全てが明らかとなっている訳ではありません。
しかし、そのプロセスの1つとして肩関節を構成する筋肉・腱、そして靭帯や関節包・滑液包などが炎症を起こすことが分かっています。
引用:https://www.fff.or.jp/clinic-ichikawa/ftopics.php?i=r2
これらの組織が誤った肩関節の使い方を繰り返すことにより摩耗し、炎症へと発展していくことは是非頭の片隅に置いておきましょう。
発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害の5つをまとめて5徴候と言う。 組織に炎症が起こると毛細血管が拡張(発赤)し、局所の血流が増加(熱感)する。そして拡張した血管から血漿成分が滲出して浮腫み(腫脹)、炎症組織周囲の圧迫や疼痛物質によって痛みを生じる。炎症の原因が改善されなければ組織の修復は不完全となり、機能障害を引き起こす。
②炎症が治まるor悪化して腱が切れる
炎症(痛み)が治まれば全て解決といきたい所ですが、ここが大きな分岐点であることは間違いありません。
整形外科的な治療(投薬や注射、理学療法など)を適切に行い、炎症を抑えつつ関節の動きを正常に近づけることで、再び痛みのバケツに水が溜まらないようにしていきます。(これをリハビリテーションと呼ぶ)
しかし、様々な理由により必ずしも思い通りにはいかないこともあります。
痛みをかばうだけで前述した肩関節の痛みを招く動作の根本が解決できなければ、炎症は更に強くなり、そして筋肉や腱の限界が訪れます。
これがいわゆる腱板断裂の状態であり、外科的な手術を行わなければ肩関節を動かすことが出来なくなるのです。
③組織が癒着する
炎症が治まる過程では周囲組織の増殖が起こり(瘢痕化)、肥厚することによって動きにくくなります。これを癒着と呼び、癒着が進行すれば関節の可動域は狭まり、日常生活に大きな支障をきたしてしまうのが、四十肩・五十肩の後に訪れる凍結肩なのです。
癒着とは本来離れているはず同士のものがくっつくことで可動性を失う病態を表す言葉を指しますが、肩関節では特に可動域の制限が顕著に見られるケースが多くあります。(他の関節に比べ圧倒的に可動域が広いため)
前項目でも炎症について触れておりますが、炎症の原因が改善されない限り、炎症を起こした組織周囲の修復は不完全のまま。これが痛みや違和感を放っておいてはならない理由なのです。
④痛みや可動域の制限が回復する
この時期では主に肩関節をはじめとした可動域の回復や動作の修正を積極的に行っていきます。
整形外科でのリハビリテーションを経験した方は、理学療法士やトレーナーのもとでトレーニングを行ったことがあるのではないでしょうか。
このように、基本的に積極的に動かす時期はあくまでも痛みが無いタイミングとなりますので、現時点で強い痛みがある場合は整形外科へ受診し専門医の指示を受けてください。
それでは次はいよいよ、慢性的に肩に不安を抱える方のためのコンディショニング法をご紹介しましょう。
第3章【四十肩の予防・コンディショニングの方法は?】
繰り返しとなりますが、四十肩や五十肩はある日突然起こるものではありません。
長い年月をかけ、ジワジワと炎症が積み重なることで蓄積の限界値を超え、痛みへと発展してしまうのです。
そこでまずは肩の痛みを引き起こしやすい姿勢をチェックしていきましょう。
姿勢チェック
肩周囲の痛みの大きな要因となる肩関節の位置。
肩の位置がズレることで、それだけ関節周囲にストレスが生じてしまうのです。
こちらについては過去の投稿記事巻き肩の治し方とは?絶対すべき9つのエクササイズでも詳しく解説しておりますが、ここでも図を用いて説明していきましょう。
この写真を見てみると、巻き肩の場合は大きく肩関節が前方に出ていることがわかります。
肩関節には上腕骨と肩甲骨が作るスキャプラプレーン(=肩甲骨の関節面)があり、この関節面を骨が適切に動くことでスムーズな動作を行うことが出来ます。しかし写真右のように、姿勢の崩れは骨の正しい位置をずらしてしまいます。
こちらは一つの例として、巻き肩(上腕骨頭の前方変位)が引き起こす肩関節痛の状態を現しています。このように、姿勢の崩れは様々な関節に負荷を掛けていることがわかりますね。
少し話が逸れてしまいましたが、それでは早速壁に背中を付けてみましょう。
二足歩行である人間には重心線と呼ばれる身体の軸が存在しており、
▪耳
▪肩峰(肩甲骨の一部)
▪大転子(大腿骨の一部)
▪膝
▪外くるぶし(やや前方)
一番上部のある耳から地面に向かって垂直に線を引いた際、これら5つのポイントが一直線になれば前後のバランスが均等であり正しい姿勢に近いとされます。
※“かかと”を壁にしっかりつけておく。
頭や肩が壁から離れてしまうようであれば、あなたは巻き肩姿勢の傾向にあり、腕を動かす度に肩関節周囲の組織は常にストレスを受けてしまうのです。
あなたは5つのポイントをしっかり壁につけて立つことが出来ていますか?
↓姿勢とダイエットの関係についてはこちら↓
今すぐ出来るセルフエクササイズを紹介
これからご紹介するエクササイズメニューは、姿勢チェックによって頭と肩が壁につけられなかった方は必ず行ってください。
それでは早速始めていきましょう。
1.四つ這いローテーション
巻き肩姿勢の大きな要因として、胸椎の柔軟性(回旋)能力低下が上げられます。
肩を動かす前に、まずは背骨(胸椎)の動きから改善していきましょう。
□方法
①四つ這いの状態から背筋を伸ばした状態で膝を畳み、片手を頭の後ろにおきます。
②そのまま腰がなるべく動かないように上半身を捻っていきましょう。これを左右10回ずつ行っていきます。
※この際、肘の位置が170~180°に達していなければ胸椎の柔軟性は低下していると言えます。
2.ハーフニーリングチェストローテーション
背骨の柔軟性の低下は即ち肩甲骨まわりの柔軟性に直結します。
そして胸椎の可動域低下は大胸筋や小胸筋など肩に関係する筋肉の柔軟性も低下するため、巻き肩姿勢が助長されてしまいますので、大きく胸を開くような柔軟性エクササイズを取り入れ、肩関節の負担を軽減させていきましょう。
□方法
①足を前後に開いて片膝をつき、両手を前方に伸ばしておきます。
②前側の足と同側の腕を大きく開きながら身体を捻っていきましょう。この時上体が傾かないように注意しながら左右10回ずつ行っていきます。
※お腹のストレッチ感と肩甲骨まわりの筋肉の収縮感を意識しながら行っていきます。
3.バンキングエクササイズ
固まった肩甲骨まわりは巻き肩姿勢を改善のために大きな障害となりますので、肩甲骨を寄せて胸を開くバンキングエクササイズを実施することで、肩甲骨周囲の動きをリセットすることが出来ます。
□方法
①膝立ちの状態(イスに座った状態または立位姿勢のままでも良い)で両手を頭上に掲げて手を揃えます。
②手首を返すように意識しながら、肘を下げて左右の肩甲骨を引き寄せる動きを行っていきましょう。これを10回行っていきます。
※肘を下げつつ胸を上方に突き出す意識を持つと、肩甲骨の柔軟性をより高めることが出来ます。
4.うつ伏せバンザイエクササイズ
うつ伏せの状態で腕を上げる動作を行うことで僧帽筋(特に中・下部)に刺激が入り、崩れた肩甲骨の動きを修正することが出来ます。
頭とお腹を地面に押し付けるように固定することがポイントで、腰部の反りなどの代償動作を抑えることが、肩関節の安定に必要となります。
□方法
①うつ伏せの状態で両手を伸ばし、地面に額とお腹を押し付けるようにして固定します。 この時サムアップポーズのように親指を上に向けておきましょう。
②お腹に軽く力を入れ、お尻を引き締めた状態で腕を地面から浮かせます。この時肩甲骨の間に力が入ることを意識し、ゆっくり元の位置に戻ります。これを10回行いましょう。
5.肩甲骨の外旋エクササイズ①
肩甲骨のインナーマッスルの1つである棘下筋を主に鍛えることが出来ます。
上腕骨頭が前方へ抜けないよう安定させる働きがありますが、巻き肩では顕著に筋力低下がみられるのが特徴です。
□方法
①姿勢チェックの姿勢を取り、”小さな前ならえ”の状態を作ります。そして肘を90°屈曲させ、手のひらを上に向けておきます。
②肩が壁から離れないように注意しながら、ゆっくりと両手を広げていきます。そして肩甲骨の裏・腕の付け根部分の筋肉が収縮するのを意識してみましょう。これを10回×3セット行っていきます。
※慣れてきたら壁から離れて行うようにしてみましょう。
6.肩甲骨の外旋エクササイズ②
同じく腕を外に開く動きとなりますが、こちらは肩甲骨のインナーマッスルの中でも小円筋を主に鍛えることが出来ます。
やはり同様に上腕骨頭が前方へ抜けないよう安定させる重要な筋肉で、例えばシャンプーなど腕を上げた時の肩関節安定を担います。
□方法
①姿勢チェックの姿勢を取り、腕を90°に開いた状態で両肘を壁に付けます。
②肘を壁につけたまま、手の甲を壁に近づけるように腕を上げていきます。そして脇の付け根の筋肉が収縮するのを意識していきましょう。これを10回×3セット行っていきます。
※慣れてきたら壁から離れて行うようにしてみましょう。
第4章【まとめ】
いかがでしたか?
今回は身体の変化として相談の多い、四十肩の予防とコンディショニングについて解説していきました。
あなたは普段から、自分の身体がどのように使えているか意識できていますか?
痛みを感じた時点で既に身体は大きなダメージを受けている可能性があります。
しかし早期に動きを改善することでそれ以上の悪化を防ぎ、今後の筋トレライフをより豊かにしてくれるでしょう。
痛いからトレーニングを諦めるよりも、痛める前にトレーニングを始めてみませんか?
今始めなければ身体はどんどん鈍ってしまいますよ!
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山戸 勝道
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