【ツボケア】身体の調子を整えるには鍼灸が良い理由【自律神経】
人間にとって、本当の健康とは何かを考えたことがありますか?
楽しく旅行に出かけられること?それとも、美味しいものを好きなだけ食べられること?
人によっては、昔ながらの友人と楽しく喋ることが健康の秘訣という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
勿論このなかに不正解はありません。
しかし、もしこれらのイベントを待ちわびた当日、
「何となく身体がだるい・・・」
「朝からお腹が張って苦しい・・・」
などと言った原因不明の不調を感じたことはありませんか?
このように病院で検査をしても原因が特定できない身体の不調(不定愁訴)は、時として人の健康を大きく害し、不幸にしてしまうこともあります。
そして不定愁訴の発症には自律神経が大きく関与していると考えられ、身体を包括的に診る東洋医学を中心とした鍼灸治療によって大きな治療効果が実証されているのです。
そこで今回は、自律神経が引き金となる不定愁訴と鍼灸の関係について詳しく解説していきましょう。
目次
第1章【不定愁訴はこんな症状】
まずは不定愁訴について少し知識を深めていきましょう。
▪頭重感
▪疲労感が抜けない
▪不安で眠れない
▪食欲が落ちた etc..
このように主観的かつ多岐にわたる自覚症状を訴えるものの、病理学的な検査に異常がなく、原因となる疾患が見つからない状態のことを不定愁訴と言います。
自覚する症状も不安定であるため周囲の理解を得難く、一人で悩みこんでしまうケースも多いようです。
西洋医学を中心とした内科や整形外科などで異常なしと言われる以上、不定愁訴へのそれ以上の対応は困難なのです。
第2章【自律神経が原因かも】
このコラムにたどり着いた方は、おそらく自覚症状として不定愁訴に思い当たる節が多いはずです。
しかし本当に異常なしで放っておいて良いはずがありません。
その不調を招く答えは自律神経の乱れにあるのです。 あなたの身体を縁の下で支える自律神経抜きでは、不定愁訴の様々な症状を説明することは出来ません。
心臓血管系、胃腸による消化吸収機能、ホルモンバランス、体温や呼吸など生命を維持するために必要な臓器のバランスを無意識的にコントロールする神経のこと。
この写真は脊柱(背骨)周囲に存在する自律神経を簡易的に表記したものです。
参考:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系
そして自律神経は、交感神経と副交感神経の2つによって構成されており、それぞれが独立そして正反対の機能を果たしているのです。
1.交感神経とは?
交感神経とは主に日中の活動に伴って活発となる機能を司る神経です。
例えば目の瞳孔を拡張させてより多くの視覚情報を得られるようにしたり、心臓の拍動を早めて血管を収縮させ、より多くの血液が全身へ巡るよう働き掛けます。
つまり交感神経は心身ともに興奮した状態であり、身体のエンジンが全開の状態を表しています。
この他にも筋肉の緊張を高めて力を発揮しやすくする作用がありますが、この状態が持続することで筋肉の硬結(コリ)を生み出してしまうのです。
また痛みに関する神経物質(ブラジキニンやヒスタミンなど)にも働き、疼痛が持続してしまうことがしばしばあります。
2.副交感神経とは?
身体全体の働きにストップを掛けリラックスさせる為に働く神経を副交感神経と言います。
心拍数は落ち着いて血圧は下がり、胃腸の活動が活発となるため消化吸収が盛んに行われ, そして脳の活動は低下し睡眠を促し、身体の修復を行うのです。
しかし、副交感神経が常に優位であれば万事解決という訳にはいきません。
頭部を巡る血管の過剰な弛緩や血圧の低下は片頭痛を引き起こすとされているのです。
3.自律神経と不定愁訴
近年では、不定愁訴は自律神経失調症として表現されることが多くなっているようです。
不眠やめまい、食欲不振そして動悸などはまさに交感神経が優位になった状態です。
本来ブレーキを掛けるべき所で副交感神経が働かないため身体はオーバーヒートを起こしてしまいます。
しかし問題はこれだけではありません。
自律神経失調症の症状が現れることで日常生活や社会生活へ支障が現れると、生活の質(QOL)が著しく低下してしまうのです。
例えばめまいが酷ければ外出はおろか家事さえ出来ないことも多々あります。
繰り返しとなりますが、胃潰瘍が出来るなどの病変がある訳ではないため検査で異常を見つけることは困難なのです。
第3章【何故鍼灸治療で自律神経は整うのか】
ここまで自律神経と不定愁訴の関係についてご紹介しました。
次は鍼灸がどのようにして自律神経を整えることが出来るのかを解説していきます。
1.筋肉の緊張を緩めて血流を改善する
鍼を打つことで筋肉に直接的にアプローチをすることが出来るのは、マッサージやストレッチなどと大きく異なる点と言えます。
鍼灸の効果が出るとされるメカニズムの一例を紹介しましょう。
しかしこれはあくまで効果の1つ。 それ以外にもトリガーポイント鍼治療などと呼ばれるような、筋緊張の高い部位(いわゆる硬結)に鍼を打つことでも治療効果を上げることが出来ます。
社団法人全日本鍼灸学会が発表した研究によると、鍼灸治療により筋緊張の緩和の機序として交感神経の抑制、そしてCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が感覚神経末梢から放出され、筋肉周囲の血管を拡張させることが分かっています。
このように、鍼灸治療による血管の拡張は疼痛物質を除去するだけでなく、細胞組織の回復に必要な酸素や栄養素を運ぶ血液の循環を改善してくれるのです。
血管の拡張や収縮のコントロールは自律神経の大切な機能の1つであり、乱れたバランスを正すためにも、鍼灸による刺激は非常に有効なのです。
2.副交感神経優位な身体へ導く
痛みは勿論のこと、精神的なストレスも含めて交感神経が過剰に働くシチュエーションは多くあります。
しかし、ただ鍼を打つだけで副交感神経が優位になる訳ではありません。
過去の投稿記事広島で最先端のパーソナルトレーニング×鍼灸治療でボディメイクを紐解くでも少しご紹介していますが、鍼灸が自律神経のリズム(本来の身体が持つバイオリズム)を整える大きなポイントは経絡(けいらく:エネルギーが流れる経路)の存在です。
身体を動かす原動力、そして生命活動を維持する為に全身を巡るエネルギーである気血(きけつ:身体を動かすエネルギーの総称)は、そのルートである経絡を伝わるのです。
そして経絡上に点在する361個の経穴(いわゆるツボ)が実(エネルギーが滞り詰まって腫れた状態)しているか虚(エネルギーが足らずハリがない状態)しているか見極め施術を行うことで、気血の流れを改善し、副交感神経優位な状態へと導くのです。
※2020年現在でWHO(世界保健機構)から認定された経穴は361穴。しかしこの他にも患部局所(阿是穴)を治療穴とするケースも多いため、実際に用いられる経穴の数はこれ以上となる。
第4章【東洋医学は身体の変化をどう捉えているのか?】
それでは少し簡潔に、経絡(気血のルート)と身体の変化の関係についてご紹介しましょう。
この時重要となる考えは、『黄帝内経』に記載される陰陽五行説です。
例えば気血・栄養を貯蔵運搬する『五臓』と身体の各部位を表す『五官』について見ていきましょう。
五臓:肝・心・脾・肺・腎
五官:目・舌・口・鼻・耳
具体的には、
▪肝臓に異常をきたすと目に症状(黄疸)が現れる(現代医学的)
▪腎臓に異常をきたすと耳に症状(耳鳴りなど)が現れる(東洋医学的)
と言った概念となります。 (※少し長くなるので今回は割愛させていただきますが、この陰陽五行説は非常に奥深いものとなるので、また機会があればご紹介致します。)
このように遥か昔より身体の変化と自律神経の関係性は解かれており、その後様々な治療家によって現代へと受け継がれているのです。
第5章【身体の不調を整える5つのツボ】
それでは次に、ツボを使ってあなたの身体の悩みを解決するツボケアをご紹介しましょう。
1.肩こり
やはり、多くの方が悩みを抱える肩こり。
姿勢の変化や筋力のバランスなど様々な要因が考えられますが、それと同様に普段のストレスによって経絡の流れが滞っているかもしれません。
そんな時は四瀆(TE09:しとく)というツボを刺激してみましょう。
このツボは気血のルートである手少陽三焦経の1つであり、中指から肘、肩を通じて耳前に入り、そして頬を経て目の外側に抜けていきます。
肩こりだけでなく、頭痛や眼精疲労などの不定愁訴にも良いとされています。
ツボの刺激方法は指を少し立て、少し圧迫を加えたまま10秒ほど小さな円を描くようにして揉んでください。
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2.腰痛
デスクワークが多い現代人の多くは腰痛に悩まされています。
肩こりと並んで腰痛は生活の質を低下させる大きな要因となるため、ツボケアで負担を軽減させてあげましょう。
座り姿勢では膝や股関節の屈曲を強いられ、足太陽膀胱経上を通る気血の流れが滞ってしまいます。
そこで、飛陽(BL58:ひよう)というツボを刺激していきましょう。
陰陽五行説より膀胱と腎は密接な関係があり、そして腎は腰痛に影響を及ぼすため、膀胱経を整えることは非常に良い結果をもたらしてくれます。
ツボの刺激方法は指を少し立て、少し圧迫を加えたまま10秒ほど小さな円を描くようにして揉んでください。
また、ストレッチポールなどを使ってマッサージを行っても良いです。
↓腰痛解消トレーニングはこちら↓
3.疲れ目・眼精疲労
スマホやパソコンなどを見続けることで、疲れ目や眼精疲労を感じる方も多いでしょう。
VDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)などと総称されるように、長時間パソコンなどの画面を見続けることは、目・身体・心に支障をきたすことがあります。
自律神経の解説で少し触れましたが、瞳孔の拡大は交感神経、そして強い光刺激も交感神経を優位にしてしまいます。
このように目と自律神経は非常に密接な関係となっていますので、ツボケアによって副交感神経を優位にしていきましょう。
そこで、攅竹(BL02:さんちく)というツボを刺激していきましょう。
ツボの刺激方法は指を少し立て、少し圧迫を加えたまま10秒ほど小さな円を描くようにして揉んでください。
4.イライラ
自律神経の乱れによる精神症状で最もよく知られるのがイライラです。
頭に血が上り叫びたくなるような精神状態では、陰陽五行説で当てはめると「怒」と「肝」の関係にあります。
つまり肝臓の働きが低下することで血が上り(肝火上炎)、怒りやすくなるという訳ですね。(※逆も然り)
そこで、太衝(BL02:さんちく)というツボを刺激していきましょう。
足厥陰肝経は足の親指から脇腹に掛けて上がっていく経絡。
横隔膜を介して肺へ繋がるため、大気からのエネルギー吸収に関与しています。
ツボの刺激方法は指を少し立て、少し圧迫を加えたまま10秒ほど小さな円を描くようにして揉んでください。
5.不安感・身体の不調
季節の変わり目には気温や気圧の変化が現れ、身体の不調を感じやすくなります。
繰り返しとなりますが、このような環境の変化には自律神経の働きを欠かすことが出来ません。
寒くなれば身体を温める交感神経を、そして気圧が高ければ身体をリラックスさせるための副交感神経を優位に活動させなければならないのです。
そこで、内関(PC06:ないかん)というツボを刺激していきましょう。
手厥陰心包経の経穴である内関は、大気からのエネルギーを取り入れる所と言われており、心身が衰弱した際は圧痛が現れることが多くあります。
仕事や家事の合間に簡単に出来るツボケアに是非チャレンジしてみましょう。
ツボの刺激方法は指を少し立て、少し圧迫を加えたまま10秒ほど小さな円を描くようにして揉んでください。
第6章【まとめ】
いかがでしたか?
今回は身体に現れる様々な症状(不定愁訴)と自律神経の関係、そして鍼灸治療を基としたツボケアをご紹介致しました。
身体の不調は人それぞれ。 未病と呼ばれる状態から改善を図る東洋医学や鍼灸治療の魅力をより多くの方に実感していただければと思います。
広島のパーソナルトレーニングジムくびれ美人
山戸 勝道
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