始めてのボディメイクのための計画の立て方
いざトレーニングを始めると決断し、行動を起こす際に決めなければならないことがあります。
それは何でしょうか。まずはウェアを買う?それともトレーニング雑誌を買い集める?思い切って5kmくらいランニングをしてみる?
どれも実際ありそうな話ですが、あなたがまず始めなければならないことは1つ。
それは「達成目標を決める」ということ、つまり「なりたいカラダ」をイメージするのです。
そしてイメージができたら今度は「目標から逆算した行動計画を立てる」作業に移ります。
ボディメイクの話に限ったことではありませんが、ゴールばかり見てしまうと行き当たりばったりの行動になりかねません。
ゴールばかりを意識しすぎてしまうと起こる弊害は多く、達成できる・できないにムラが出たり、途中で挫折したりなど、自身の結果に大きな差が生じる可能性があります。
確実に目標を達成していくためにはこの、目標から逆算した行動計画をしっかり立てることが重要なのです。
そこで、今回のコラムではボディメイクやダイエットの目標を達成するための行動計画の立て方と、そのメリットをお伝えしていきます。
目次
第1章【トレーニング計画を立てるべき3つのメリット】
1-1.日々やるべきことが明確になる
行動を細分化すること=日々の「やるべきこと」を明確にすること
ここがはっきりすると、人は行動(アクション)を起こしやすくなります。ボディメイクやダイエットで結果が出る人、出ない人の差が大きく分かれるポイントの1つであると言えます。
1-2.現時点での自分の状態と問題点を分析することができる
目標に対して現段階の自分の状況がどうなのかをあなた自身が把握することができます。
例えば運動量がしっかりと取れているにも関わらず体重の変動がない場合は、普段の食事によるカロリー摂取量(PFCバランス:参照記事URL→【糖質主体からタンパク質主体に!】)を見直さなければならないかもしれないし、もしかしたら筋肉量の少なさによる代謝の低さが原因かもしれません。
筋肉をつけたい・ボリュームを上げたい部位になかなか筋肉がつかない場合は、普段のトレーニングにおける強度設定に問題があるかもしれないし、フォームの問題も考えられます。もしかしたらタンパク質の摂取量が目標数値より少ない可能性だってあります。
このように行動計画をより細分化できれば、問題点が浮き彫りとなり、解決策を練ることができます。
しかし行動計画を細分化できていなければどこに問題があるかを把握する術がないまま時間だけが過ぎてしまうことになりかねません。
目標達成のためにも、このように途中経過を追うことは非常に大切なのです。
1-3.モチベーションを保つことができる
トレーニングは決して楽しいことばかりではありません。全員に該当するわけではありませんが、フリーウエイトである程度負荷を掛ける場合もあります。
短期的な目標が「体重や体脂肪率の増減幅のクリア」や「周囲径の減少」、はたまた「正しいフォームの習得やスクワットを100kg扱う」など色々考えられます。
いずれにしても達成すればやはりうれしく、継続する意欲が湧いてきますよね。
この継続する意欲を保つことにもトレーナーは関与し、「楽にクリアできる目標」ではなく「頑張ればクリアできる目標」を選択してご提供しています。
特に初めての目標設定は大切です。なぜならば、その後のトレーニングの継続に大きく影響してくるからです。
「頑張った!」「達成した!」という経験をすることが、その後のモチベーションや効果の大きく左右されることが多いのです。
第2章【実際にボディメイク計画を立てるには?】
トレーニングの計画を立てる必要性があることは、皆さんご理解いただけたと思います。
問題はどのように計画を立てるのか?何から優先すべきなのか?という具体的な案が出せていないことが多いということです。
□普段の食事
□トレーニングプログラム
□体組成の測定(体重や体脂肪率、脂肪量など)
整理すべき内容だけでも、このような例が挙げられます。
まずは計画を立てる前に、ボディメイク成功のためのポイントを知っておくことが大切ですね。
第3章【計画を立てる前に、知っておくべきボディメイクのポイント】
お気づきの方もいるかもしれませんが、ここまであえてダイエットという言葉を用いていないのには理由があります。
実はボディメイクとダイエットは概念が異なり、女性らしいメリハリのあるカラダを目指す人はボディメイクを始める必要があるのです。
(参照記事URL→【ボディメイクのために知っておくべきトレーニングの基礎知識】)
ダイエットは食事制限やエクササイズによって体重を落とすことを意味し、ボディメイクは気になる部位(例えば二の腕や下腹)を引き締め、体重を大きく減らすことを目的とせず、見た目に大きく差をつけることを目的としているという解釈でOKです。
3-1.見た目と体重、どっちを優先する?
はっきり言うと、体重を優先すべき人は階級があるスポーツの人です。
もしあなたが階級の基準をクリアするためにダイエットを始めたのであれば体重を間違いなく優先すべきです。
しかし、大半の人はそうではないはずです。
体重計の乗ってみるとその数字にビックリしてしまい、体重を減らすことに取り掛かろうとしまいがちです。ですがよくよく考えてみてください。普段から気になっていたのは体重ですか?お尻やお腹、二の腕など体の各部位に対して思う所があったはずです。
つまり、まずは体重よりも見た目の変化を大切にすべきということです。
あなたは痩せてどのような体型になりたいのですか?
5kg痩せたい!10kg痩せたい!といった体重の目標はあると思います。しかし体重に固執しても良いことばかりではありません。もしかしたら、減らした体重は脂肪ではなく筋肉かもしれません。これでは見た目のバランスはあまり変わらない事が多いのです。
そして筋肉が減ることによる大きな弊害が発生してしまう可能性があります。それは、基礎代謝量低下によるリバウンドです。
リバウンドの発生する要素はここにあり、長期的な観点からしても短期間の急激な減量は体に負担が掛かるものなのです。
3-2.PFCバランスを整える
ボディメイクには食事の介入は少なからず含まれてきます。
よくある間違いとして、ただ闇雲に総摂取カロリーを減らすことが考えられます。
皆さんは、体重を1kg減らすのにどれくらいのカロリーの制限が必要かご存知ですか?
じつは、体脂肪1kgを減らすのに約7200kcalのエネルギー消費が必要です。
ではもしあなたの基礎代謝量が1200kcal(平均的な40代女性)の場合、6日ほど断食をすれば7200kcalのカロリー摂取を抑え、体脂肪を1kg減らすことになるのでしょうか?
もちろんこれが違うのはわかると思います。
カロリー摂取を控えるだけでは、脂肪よりもむしろ体を作る筋肉が減ったり、栄養バランスが乱れて体調を崩す可能性が高くなります。
食事における3大栄養素のPFCバランスを整えることで、より健康的にトレーニングに取り組むことができるのです。
※PFCバランスとは、タンパク質(P)・脂質(F)・炭水化物(C)の三大栄養素のことをいう。
(参照記事URL→【腰のハミ肉は代謝の低下が原因?代謝を上げる方法とは】第4章【糖質主体からタンパク質主体に!】)
3-3.具体的にやることを決める
この時の“具体的”とはどのような意味なのでしょうか?
例えば、ボディメイク全般において必要な食事の介入について。この食事介入の内容としてタンパク質の摂取があります。もちろん、毎回の食事の中にタンパク質が必要なことはわかっていることでしょう。ここで問題となるのがその“具体的”な量です。
「一体何g必要なの?」
「1食で摂るべき?」
「プロテインを必ず摂らないとダメなの?」
という皆さんの声が聞こえてきそうですね。
ボディメイクをするにあたって、1日に必要なタンパク質の合計は体重(kg)×1.2~1.5gです。つまり体重50kgの女性の場合、少なくとも60gのタンパク質は必要であることがわかります。
60gと言われると、漠然としすぎてイメージが湧きづらい方も多いはずです。
しかし毎食20g以上タンパク質を摂取することを目標にした場合はどうでしょうか?
イメージしやすいですよね?
このように、ちょっとした違いが日々の取り組み方に左右するのです。
第4章【身近なことの消費カロリーって知ってますか?】
簡単に日常にありふれた動きの消費カロリーを計算する方法があります。
その単位となるのがMETs(メッツ:「Metabolic equivalents」の略)です。
運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギー消費が行われるかで活動の強度を示したものです。つまり1METs(安静時)よりも3METs(散歩)のほうが運動強度が高く、消費カロリーが多いということです。
それではMETsを使って日常的のに行われる動作や運動の消費カロリーを計算してみましょう。
4-1.METs(メッツ)を使って消費カロリーを計算してみよう
こちらがMETs(メッツ)を用いた消費カロリーの計算式です。
消費カロリー(kcal)=1.05×METs×時間×体重(kg)
そして運動の種類によってMETsの数値が異なります。
3METs:ウォーキング
5METs:ダンス(軽く)
7METs:ランニング(時速8km)・水泳
15METs:ランニング(時速15km)
もしあなたが体重50kgの女性で、1時間のウォーキングを始めた場合は、
1.05×3×1×50=157.5kcalを消費した計算になります。
あれ?思ったより少ないと思いませんか?
同じ条件で、ダンス(軽く)を行った場合は、
1.05×5×1×50=262.5kcalを消費したことになりますね。
この数値をみて、あなたは食事には一切変化を加えずにトレーニングだけでボディメイクに挑もうとしますか?
第5章【脂肪1kgを減らすのは意外と大変?】
体脂肪1kgをするのに必要なエネルギー量を知っておくと、体重や体脂肪のコントロールのイメージが付きやすくなります。
体脂肪1kgを減らすのに必要なエネルギー消費は約7200kcalと上述しましたね。
先ほどのMETs(メッツ)を使って考えてみましょう。
体重50kgの女性が1時間ウォーキングをして約158kcal、1時間のジョギングで368kcalの消費カロリーです。
これを踏まえると、ジョギングでも最低20日程度は継続して行う必要がありますね。
なかなか根気が必要そうです。
第6章【目標体重に届かせるには?】
今度は目標体重を設定している場合について、一日あたりどれくらいの摂取カロリーを削減すべきかを見ていきましょう。
やはり体重を落とすためには、ある程度摂取カロリー、すなわち食事をコントロールする必要があります。
確かに食べなければ体重は落ちます。しかし健康的ではないのは明らかです。健康的に美しく体重を落とすためには、食べながら体重を落とすことが大切なのです。
6-1.一日当たりの削減すべきカロリー量は?
今度は1日の削減目標カロリーを、ある計算式を用いて計算してみましょう。
体脂肪1kgを減らすために必要なカロリーは7200kcalであることから、
1日の削減目標カロリー=7200kcal×落としたい体重(kg)÷トレーニング日数(日)
というように計算することができます。
例えば2か月で-3kgという目標体重がある場合、
7200×3÷60=360kcal
となります。
つまり1日の摂取カロリーから-360kcal減らすこと(もしくは360kcal消費カロリーを増やす)が取り組むべき1つの方法となります。
第7章【理想的な減量のペース】
基本的に推奨されているのが、1か月あたりに体重の3.5%以内と言われています。
もしあなたの体重が60kgの場合は1か月あたり2.1kg程度の体重の減少幅が理想です。
余分な水分や宿便が無くなる等、体重変動の誘因は多くありますので、あくまで基準として考えていただいて結構です。
つまり、1か月で10kg痩せる!などといった情報は、少なからず体のどこかに負担がかかっている可能性があるのです。
第8章【変わりたいと思った動機を整理しよう】
行動を起こす前の心理状況として、何かの感情が起こったはずです。
「お腹が出てきて、昔のジーンズが入らなくなったから危機感が出てきた」のか?
「二の腕がたるんでしまい、ノースリーブや半袖を着るのが恥ずかしい」のか?
知人や友人、恋人に「最近太った?と聞かれてショック」だったのか?
など理由は様々考えられますね。
いずれにしろ、あなたに行動を起こさせる十分な動機となったことは確かです。
8-1.理想像をイメージする
今現在、FacebookやInstagramなどのSNSで芸能人の私生活に触れる機会が増えています。
「芸能人の〇〇のようになりたい!」
「女優の〇〇さんはすべての女性にとっての憧れ!」
このように具体的なイメージがあると、我々トレーナーのアドバイスもより明確化でき、モチベーションの維持に繋がりますね。
8-2.自分のカラダの現状を知ろう
お客様が体験に来られた際、やはり体重や体脂肪率をお伺いします。
この時、大半の方がおっしゃられるキーワードが。
「最近測ってないです・・・・・。」
本当でしょうか?(笑)
このように今のカラダの状況がマズいにも関わらず、具体的な数値を把握していなければ、印象でしかお話をすることができません。毎日体重計とにらめっこのような状況もよくありませんが、まったく測定していない状況もあまり好ましくないのです。
そして測定するタイミングとしてベストなのは、「毎朝起きてトイレに行った後。」というように同じ時間帯に測定するほうが良いです。体重は食事や排尿、水分摂取に左右される幅が大きく、測定するタイミングによる500g程度の誤差は当たり前なのです。
第9章【ボディメイク達成のまとめ】
□日々やるべきことを明確にする
□見た目と体重の優先順位を決定する
□食事におけるPFCバランスを整える
□理想的な減量のペース配分を考慮する
□理想像をイメージする
ボディメイク計画を成功させるためにも、準備の段階からしっかりと理想像を持っておくことが大切ですね。あくまで他は方法であり、トレーニングを行うあなた自身の意識付けがモチベーションを保つために最も必要なのです。
日常生活において毎日同じ動きの繰り返しでは、カラダの機能とシルエットは日々低下せざるを得ません。
低下した機能やシルエットを改善するためにも、適切なトレーニングは必要です。しかし日常のストレスによって筋肉のバランスが崩れた状態でトレーニングを行っても、シルエットの改善にはつながりません。
逆に怪我に繋がってしまうことも。
また女性らしいシルエットになるバランスを知らないでトレーニングを行うことは重大なリスクを伴います。
ボディメイクの目的とは異なる、単なる筋肥大を目的としたトレーニングメニューを課してしまえば、せっかく一生懸命にトレーニングを行ってもプロポーションの悪化に繋がる可能性だってあるのです。
女性らしく、あなたにとって理想的なカラダになるためにも、人それぞれ違う骨格や生活習慣から逆算的に必要なものを導き出すことが大切で、1つとして同じカラダがないのと同様に同じトレーニングメニューを課すことはありません。
最後に、ボディメイクを達成するためにはその人の運動レベルに合わせて段階的にトレーニングプログラムを組むことが大切となります。
専門家であるパーソナルトレーナーのサポートを受けながらトレーニングを行うことで、自己流では成し得ない結果を達成することが可能となります。
なりたい自分に近付き、これまで以上にオシャレを楽しんだり、自分に自信を持った女性が増えてくれるといいですね。
くびれ美人パーソナルトレーナー
山戸